GXO
オンプレからクラウド移行

SaaS導入に失敗した企業が選ぶスクラッチ開発|移行事例3選と費用・期間の実態

15分で読める

QUICK CHECK

本文を読みながら、自社で進めるべきか、相談前に何を整理するかを確認できます。

5分で自社の状況を診断する

GXO COLUMN

システム開発

「SaaSを入れたのに、結局Excelに戻った」

この言葉を、中小企業の経営者から何度聞いたかわからない。

SaaS(Software as a Service)は月額数万円から始められ、初期投資を抑えてDXを推進できる有力な手段だ。しかし、すべての業務がSaaSで解決するわけではない。業務をSaaSに合わせるのではなく、システムを業務に合わせるべきケースが確実に存在する。

本記事では、SaaS導入に失敗した企業が「なぜスクラッチ開発に切り替えたのか」を3つの事例で解説し、移行の判断基準と費用・期間の実態を明らかにする。


NOCODE EXIT

Bubble/kintone の限界、スクラッチ移行で解消しませんか?

ノーコードの肥大化・応答遅延・カスタマイズ限界を Laravel+Vue 移行で根治。概算費用・移行期間・データ移行設計・並行稼働プランをその場で確認できます。

移行プランの概算を見る

SaaS導入が失敗する5つのパターン

SaaS導入の失敗は、導入前の検討不足に起因するケースがほとんどだ。以下の5パターンに分類できる。

横にスクロールして確認できます

パターン典型的な症状発生頻度
1. カスタマイズ不足自社の業務フローに合わない機能があり、手作業で補完。結果的にExcelとの二重管理に最も多い
2. データ連携の困難既存の基幹システム・会計ソフトとデータ連携できず、手動でCSV出力→取込を繰り返す多い
3. ランニングコストの肥大ユーザー数課金で、利用者が増えるほど月額が膨らむ。オプション機能の追加で当初の3倍に多い
4. ベンダーロックインSaaSベンダーの方針変更(値上げ、機能廃止、サービス終了)に振り回される中程度
5. セキュリティ要件の不適合顧客データや図面データをSaaSベンダーのクラウドに保存できない規約・法規制がある業界限定

重要なのは、これらの問題は「SaaSが悪い」のではなく、「SaaSが向いていない業務にSaaSを適用した」結果だということ。 逆に言えば、スクラッチ開発に切り替えれば解決するケースが多い。


事例1:製造業A社——受発注SaaSのカスタマイズ限界

企業プロフィール

横にスクロールして確認できます

項目内容
業種金属部品加工(従業員45名)
課題Excelの受発注管理を脱却するためSaaS型受発注システムを導入
導入したSaaS月額8万円の受発注SaaS
利用期間14か月で断念

SaaS導入で起きた問題

横にスクロールして確認できます

問題詳細
個別単価の管理不可取引先ごとに異なる単価テーブル(数量割引・期間契約・特別価格)をSaaS上で管理できなかった
図面紐づけ不可受注データに技術図面(PDF/DXF)を紐づける機能がなく、別フォルダで管理→どの図面がどの受注か不明に
EDI非対応主要取引先3社がWeb-EDIを要求していたが、SaaSがEDI連携に非対応
承認フロー不適合自社の3段階承認(担当→課長→部長)をSaaSの2段階承認に無理やり合わせた結果、承認漏れが多発

スクラッチ開発への移行

横にスクロールして確認できます

項目内容
開発費用650万円(要件定義〜本番稼働)
開発期間5か月
主な機能個別単価管理、図面紐づけ、Web-EDI連携、3段階承認フロー、在庫管理、請求書自動生成
データ移行SaaSからCSVエクスポート→クレンジング→新システムにインポート(2週間)
補助金ものづくり補助金(デジタル枠)で433万円補助 → 実質負担217万円

移行後の効果

横にスクロールして確認できます

指標SaaS利用時スクラッチ移行後
受発注の処理時間/月80時間(SaaS+Excel併用)35時間
転記ミス月12件月0〜1件
EDI対応率0%100%
2年間の総コストSaaS月額8万×14か月+移行費=762万円実質217万+保守月8万×24か月=409万円

FREE DOWNLOAD

中小企業のDX推進 5ステップガイド

多様な企業の導入実績から抽出した、失敗を防ぐDX推進の5つのステップを継続解説。

事例2:不動産管理会社B社——物件管理SaaSのデータ連携の難航

企業プロフィール(補足2)

横にスクロールして確認できます

項目内容
業種不動産管理(管理戸数1,200戸、従業員28名)
課題物件管理・入居者管理・修繕管理を一元化したい
導入したSaaS物件管理SaaS(月額12万円)+ 修繕管理SaaS(月額5万円)
利用期間18か月で断念

SaaS導入で起きた問題(補足2)

横にスクロールして確認できます

問題詳細
2つのSaaS間のデータ不整合物件管理と修繕管理でデータが同期せず、入居者情報の二重管理が発生
CSV手作業の常態化2つのSaaS + 会計ソフト(弥生)間のデータ連携がすべてCSV手動エクスポート/インポート。月末に丸2日費やす
オーナー向け報告書の非対応物件オーナーへの月次収支報告書を自動生成できず、Excelで個別作成
ランニングコスト増大2つのSaaSの月額合計17万円 + 追加オプション4万円 = 月額21万円に膨張

スクラッチ開発への移行(補足2)

横にスクロールして確認できます

項目内容
開発費用480万円
開発期間4か月
主な機能物件管理・入居者管理・修繕管理・オーナー報告書自動生成を一元化。弥生会計とAPI連携
データ移行2つのSaaSから全データを移行(3週間)
補助金IT導入補助金(デジタル化基盤枠・補助率3/4)で350万円補助 → 実質負担130万円

移行後の効果(補足2)

横にスクロールして確認できます

指標SaaS利用時スクラッチ移行後
月末のデータ連携作業2日自動化(0時間)
オーナー報告書作成1戸あたり30分自動生成(5分で確認のみ)
月額コスト21万円保守8万円
2年間の総コストSaaS月額21万×18か月+移行費=858万円実質130万+保守月8万×24か月=322万円

事例3:EC事業者C社——ECプラットフォームのベンダーロックイン

企業プロフィール(補足3)

横にスクロールして確認できます

項目内容
業種食品EC(年商1.8億円、従業員15名)
課題ECプラットフォームの制約で成長が頭打ちに
導入したSaaS国内大手ECプラットフォーム(月額15万円+売上手数料3%)
利用期間3年で移行決断

SaaS導入で起きた問題(補足3)

横にスクロールして確認できます

問題詳細
手数料の肥大月商1,500万円 × 3% = 月45万円の手数料。月額と合わせて月60万円のコスト
定期購入の柔軟性不足食品の定期便で「2週間ごと」「月2回指定日」等の柔軟な配送パターンが設定不可
顧客データの制約購買履歴データの一括エクスポートに制限。自社のCRMとリアルタイム連携不可
SEO/表示速度の限界テンプレートの制約でページ表示速度がCore Web Vitals基準を下回り、SEOに悪影響

スクラッチ開発への移行(補足3)

横にスクロールして確認できます

項目内容
開発費用900万円(EC機能 + 定期購入 + CRM連携 + 管理画面)
開発期間7か月
主な機能自社EC、柔軟な定期購入管理、顧客セグメント配信、ポイント管理、在庫連携
データ移行顧客データ8万件、商品データ1,200件、注文履歴3年分を移行(4週間)
補助金ものづくり補助金(デジタル枠)で600万円補助 → 実質負担300万円

移行後の効果(補足3)

横にスクロールして確認できます

指標SaaS利用時スクラッチ移行後
月額コスト60万円(月額+手数料)保守15万円 + 決済手数料のみ
定期購入の解約率月8%月4.5%(柔軟なスキップ機能の効果)
ページ表示速度3.2秒1.1秒
年間コスト削減額約500万円

スクラッチ移行の判断基準チェックリスト

以下の項目に3つ以上該当する場合、スクラッチ開発への移行を本格検討すべきだ。

横にスクロールして確認できます

No.チェック項目該当?
1SaaSの機能不足を補うために、Excelや別ツールとの二重管理が発生している
2複数のSaaS間のデータ連携を手動(CSV等)で行っている
3SaaSの月額費用が当初の1.5倍以上に膨らんでいる
4SaaSベンダーの機能追加ロードマップに自社の要望が含まれていない
5セキュリティ・コンプライアンス要件でデータの保管場所に制約がある
6SaaSのAPIが不十分で、既存システムとの連携に限界がある
7SaaSの契約更新時に大幅な値上げを通告された
8業務の成長に伴い、SaaSの処理能力・データ量上限に近づいている

スクラッチ移行の費用相場

横にスクロールして確認できます

システム規模費用目安期間含まれる範囲
小規模(単機能の業務システム)300〜600万円3〜5か月要件定義、設計、開発、テスト、データ移行
中規模(複数機能の業務システム)600〜1,200万円5〜8か月上記 + 外部連携、帳票、権限管理
大規模(基幹システム相当)1,200〜3,000万円8〜14か月上記 + 大量データ移行、マルチテナント、高可用性

SaaSからの移行で追加コストが発生する項目

横にスクロールして確認できます

項目費用目安備考
データ移行30〜200万円SaaSのエクスポート機能の制約により変動
並行運用期間のコストSaaS月額 × 1〜3か月分新旧システムの並行稼働期間
ユーザー研修10〜30万円新システムの操作トレーニング
旧SaaS解約時の違約金0〜年額費用の50%契約内容を事前確認

移行を成功させる5つの原則

横にスクロールして確認できます

原則説明
1. SaaSでの「失敗」を要件定義に活かす「SaaSで何ができなかったか」が最も精度の高い要件になる。失敗経験は資産
2. データ移行計画を最初に立てるSaaSからのデータエクスポート仕様を確認し、移行の難易度を開発着手前に把握する
3. MVP(最小限の機能)で最速リリースSaaSの全機能を初期リリースで再現しようとしない。まず最も重要な機能3つに絞る
4. 並行運用期間を設ける新旧システムを1〜2か月並行稼働させ、データ整合性と業務フローを検証する
5. 補助金は移行計画と同時に申請するものづくり補助金の交付決定まで2〜3か月かかる。開発スケジュールと並行して進める

実務判断のポイント

この記事は、経営者、情シス、業務責任者、発注担当向けです。要件定義、RFP作成、見積比較、レガシー刷新、業務システム再構築を自社で進めるか、外部の専門家と整理するかを判断する材料として使えます。

GXOが重視するのは、話題性の高さよりも「自社の業務、データ、権限、予算、運用責任にどう影響するか」です。SaaS導入に失敗した企業が選ぶスクラッチ開発|移行事例3選と費用・期間の実態に関する検討では、担当者だけで判断を閉じず、経営、現場、情シス、外部パートナーの役割を早い段階で分けることが重要です。

よくある質問

Q. SaaSを使い続けるのとスクラッチ開発、どちらが安いか? A. 短期(1〜2年)はSaaSが安い。長期(3年以上)はスクラッチが安くなるケースが多い。SaaSの月額費用 × 36か月がスクラッチの開発費+保守費を超えるタイミングが「損益分岐点」だ。上記3事例はすべて2年以内にスクラッチの方が安くなっている。

Q. スクラッチ開発でも失敗するリスクはないのか? A. ある。最大のリスクは「要件定義の失敗」だ。SaaSの失敗経験がある分、要件は明確になりやすいが、開発会社の選定を誤ると同じ轍を踏む。過去に同業種のシステム開発実績がある会社を選ぶことが最も重要。

Q. SaaSベンダーがサービス終了した場合、データはどうなるか? A. 多くのSaaSは契約終了後30〜90日間のデータエクスポート期間を設けている。ただし、独自フォーマットでしかエクスポートできないケースもある。契約書の「サービス終了時のデータ取扱い」条項を必ず確認すること。

Q. 移行期間中、業務は止まらないか? A. 並行運用期間を設ければ止まらない。新システムでの運用を開始しつつ、旧SaaSも1〜2か月間継続する。追加コスト(SaaS月額1〜2か月分)はかかるが、業務停止リスクをゼロにできる。


まとめ

横にスクロールして確認できます

項目ポイント
SaaS失敗の主因カスタマイズ不足、データ連携困難、コスト肥大、ベンダーロックイン
移行判断基準チェックリスト8項目中3つ以上該当で本格検討
費用相場小規模300万〜 / 中規模600万〜 / 大規模1,200万〜
補助金ものづくり補助金で最大2/3カバー
成功の鍵SaaSの失敗を要件定義に活かす。MVP優先でリリース

SaaSの失敗は「終わり」ではなく、スクラッチ開発の最高の要件定義書になる。

関連記事:


GXOはSaaSからスクラッチ開発への移行を300万円〜支援

既存SaaSの課題分析、要件定義、開発、データの完全移行まで一貫して対応しています。「今のSaaSに限界を感じているが、スクラッチに踏み切るべきか判断できない」という段階からご相談ください。

SaaS→スクラッチ移行の無料相談を予約する

※ 営業電話はしません | オンライン対応可 | 相談だけでもOK

追加の一次情報・確認観点

この記事の内容を社内で検討する場合は、一般論だけで判断せず、次の一次情報と自社データを照合してください。特に、稟議・RFP・ベンダー選定では「何を実装するか」よりも「どのリスクをどの水準まで下げるか」を先に決めると、見積もり比較のブレを抑えられます。

横にスクロールして確認できます

確認領域参照先自社で確認すること
AIリスク管理NIST AI Risk Management Framework用途、リスク、評価方法、運用責任者を確認する
LLMセキュリティOWASP Top 10 for LLM Applicationsプロンプトインジェクション、情報漏えい、権限設計を確認する
AI事業者ガイドライン総務省 AI関連政策説明責任、透明性、安全性、利用者保護の観点を確認する
DX推進IPA デジタル基盤センターDX推進指標、IT人材、デジタル基盤の観点で現状を確認する
個人情報個人情報保護委員会個人情報・委託先管理・利用目的・安全管理措置を確認する

参考情報

  • 制度、価格、仕様、脆弱性、法務、セキュリティに関する判断は、公開時点の公式情報と一次情報を確認したうえで更新してください。

GXO 経営IT判断レター

このテーマの重要更新と、発注前の判断チェックを受け取る

記事の通知ではなく、経営者・実務決裁者が次に確認すべき判断軸を月2回までに絞ってお送りします。登録後に業種・業態・頻度を変更できます。

GXO 経営IT判断レター

発注前の判断チェックを無料で受け取る

AI・DX・開発会社選びの失敗条件と、自社で使える診断・チェックリストを月2回まで配信します。営業電話はありません。

ISSUE HUB

古いシステムを刷新したいの全体像を見る

関連する中カテゴリ・小カテゴリ・記事を横断し、課題の整理、優先順位、解決策をまとめて確認できます。

課題別ハブを見る

CATEGORY CLUSTER

同じ課題で読む

この記事の親カテゴリと近い小カテゴリをたどると、課題の全体像から具体的な解決策まで順に確認できます。

関連 HUB

この記事は以下の業種・悩み hub にも掲載されています。同じテーマの実務ナレッジと支援サービスをまとめてご覧いただけます。

SAVE

気になった記事を手元に

メール登録なしでこのページから記事を保存できます。あとからメールアドレスを登録すると、保存した記事のリストをまとめて受け取れます。

保存した記事はまだありません。気になる記事があれば、このボタンから残しておけます。

お気軽にご相談ください

AI・DXに関するご質問やお見積もりなど

無料相談する

CONTACT

まずは 無料相談 から始めませんか。

サービスについてのご相談・ご質問などお気軽にお問い合わせください。
※ 営業電話はしません | オンライン対応可 | 相談だけでもOK