「RFPの書き方がわからない」「ベンダー各社の見積金額が10倍違う」「経営層に稟議が通らない」——情シス担当者から最も多い相談です。
RFP(Request for Proposal、提案依頼書)は、ベンダーから精度の高い見積を引き出し、社内稟議を通すための最重要文書です。本記事では、稟議を一発で通すRFPの10章構成と、各章の書き方を解説します。
目次
RFPが果たす3つの役割
| 役割 | 内容 |
|---|---|
| ベンダーへの情報提供 | 自社の状況・要件・期待値を伝える |
| 見積精度の向上 | 同じ条件で見積させることで比較可能に |
| 社内稟議の根拠 | 経営層・財務へのプロジェクト説明資料 |
3つの役割を同時に果たすRFPが「稟議が通るRFP」です。
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稟議を通すRFPの10章構成
| 章 | 内容 | 推奨ページ数 |
|---|---|---|
| 1. プロジェクト概要 | 目的・背景・期待効果 | 2〜3 |
| 2. 自社の現状 | 業務・システム・課題 | 3〜5 |
| 3. プロジェクト要件 | 機能・非機能・スコープ | 5〜10 |
| 4. 制約条件 | 予算・期間・技術制約 | 1〜2 |
| 5. 提案依頼事項 | ベンダーに求める提案内容 | 2〜3 |
| 6. 評価基準 | 採用判断の基準 | 1〜2 |
| 7. スケジュール | 提案期限・選定スケジュール | 1 |
| 8. 提出方法・形式 | 提案書フォーマット | 1〜2 |
| 9. 契約条件・ベンダー要件 | 契約形態・実績要件 | 1〜2 |
| 10. 機密保持 | NDA、情報取扱方針 | 1 |
合計20〜30ページが目安です。
章別の書き方とサンプル文面
第1章:プロジェクト概要
1.1 プロジェクト名
AI活用による営業業務効率化プロジェクト
1.2 背景
営業部門の事務工数増加(月500時間相当)が課題。AIエージェントによる
見積作成・案件管理の自動化で、営業活動時間を50%増やすことを目的とする。
1.3 期待される効果
- 営業1人あたり事務工数の50%削減(年間約300万円相当の人件費効果)
- 商談数の20%増加(年間売上影響:4億円)
- 投資回収期間:18ヶ月以内
第2章:自社の現状
2.1 業務フロー
現状の業務フローをAs-Is図で記載。1日あたりの工数を時間単位で。
2.2 既存システム
利用中のCRM/ERP/その他SaaS一覧。バージョン・契約状況も記載。
2.3 課題
優先度A/B/Cで分類。Aは「経営インパクト大かつ短期解決必要」。
第3章:プロジェクト要件
3.1 機能要件
機能を箇条書きで100項目程度。優先度Must/Want/Should-haveで分類。
3.2 非機能要件
レスポンス、可用性、セキュリティ、運用、拡張性、保守性。
3.3 スコープ外
「やらないこと」を明記。これがあると見積が締まる。
第4章:制約条件
4.1 予算上限
2,500万円(含む保守1年)
4.2 期間
2026年7月着手、2027年3月本稼働
4.3 技術制約
- クラウド:AWS優先、Azure可
- 既存システムのうち○○は変更不可
第5章:提案依頼事項
ベンダーに求める提案内容:
1. ソリューション概要
2. 工程別工数・費用
3. プロジェクト体制
4. リスク管理計画
5. PoC計画(本番前の検証)
6. 運用保守体制
7. 過去類似実績(中堅企業向け)
第6〜10章
スケジュール、提出方法、契約条件、機密保持を簡潔に。
避けるべき抽象表現と書き換え例
| NG | OK |
|---|---|
| 最新技術を活用したシステム | 2026年4月時点で5年以内の運用実績がある技術スタック |
| 業務効率化を実現 | 営業1人あたり月20時間の工数削減を実現 |
| 拡張性の高い設計 | 将来的に同時接続ユーザー数を3倍に拡張可能な設計 |
| 高い品質 | 障害発生率0.1%以下、応答時間2秒以内 |
| 柔軟な対応 | 仕様変更時の対応工数・費用の見積基準を明記 |
ベンダー見積を比較可能にする条件揃え
ベンダー間の見積金額が10倍違うのは「条件が揃っていない」のが主因です。
| 揃えるべき条件 | 具体例 |
|---|---|
| 機能のスコープ | Must要件のみ vs Want含む |
| データ移行の範囲 | 過去3年分 vs 全期間 |
| ユーザー研修の範囲 | 管理者のみ vs 全社員 |
| 保守期間 | 6ヶ月 vs 24ヶ月 |
| SLA | 99.5% vs 99.9% |
これらをRFPで明示することで、見積比較が可能になります。
よくある質問
Q1. RFP作成にどれくらい時間をかけるべきですか?
中規模プロジェクト(5,000万円規模)で2〜4週間が目安です。これを短縮すると、見積精度が下がりプロジェクト全体のリスクが増えます。
Q2. RFPは何社に送付すべきですか?
3〜5社が現実的です。1〜2社では選択肢が少なく、6社以上では比較工数が膨らみます。
Q3. ベンダーから「RFP不明確で提案できない」と言われたら?
RFPの該当箇所を見直し、不明確な部分を補足します。それでも対応できないベンダーは、自社プロジェクトのフィット感が低い可能性があります。
Q4. RFPを社内で作る vs コンサルに作ってもらうのどちらが良い?
中規模以上のプロジェクトでは、コンサル(または認定IT導入支援事業者)と協議のうえRFP作成することを推奨します。プロジェクトの方向性を社外視点で検証できます。
Q5. 稟議に通すために他に必要な資料は?
ROI試算書、リスク評価書、ベンダー比較表、契約書ドラフトの4点セットが標準です。RFPと別に整備します。
参考資料
- 独立行政法人情報処理推進機構「DX白書2024」 https://www.ipa.go.jp/publish/wp-dx/dx-2024.html
- 経済産業省「DX推進指標とそのガイダンス」 https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/dx/dx.html
- 経済産業省「AI・データの利用に関する契約ガイドライン」 https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/guideline.html
- 中小企業庁「中小企業白書2025」 https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/




