「RFPの書き方がわからない」「ベンダー各社の見積金額が10倍違う」「経営層に稟議が通らない」——情シス担当者から最も多い相談です。
RFP(Request for Proposal、提案依頼書)は、ベンダーから精度の高い見積を引き出し、社内稟議を通すための最重要文書です。本記事では、稟議を一発で通すRFPの10章構成と、各章の書き方を解説します。
目次
RFPが果たす3つの役割
| 役割 | 内容 |
|---|---|
| ベンダーへの情報提供 | 自社の状況・要件・期待値を伝える |
| 見積精度の向上 | 同じ条件で見積させることで比較可能に |
| 社内稟議の根拠 | 経営層・財務へのプロジェクト説明資料 |
稟議を通すRFPの10章構成
| 章 | 内容 | 推奨ページ数 |
|---|---|---|
| 1. プロジェクト概要 | 目的・背景・期待効果 | 2〜3 |
| 2. 自社の現状 | 業務・システム・課題 | 3〜5 |
| 3. プロジェクト要件 | 機能・非機能・スコープ | 5〜10 |
| 4. 制約条件 | 予算・期間・技術制約 | 1〜2 |
| 5. 提案依頼事項 | ベンダーに求める提案内容 | 2〜3 |
| 6. 評価基準 | 採用判断の基準 | 1〜2 |
| 7. スケジュール | 提案期限・選定スケジュール | 1 |
| 8. 提出方法・形式 | 提案書フォーマット | 1〜2 |
| 9. 契約条件・ベンダー要件 | 契約形態・実績要件 | 1〜2 |
| 10. 機密保持 | NDA、情報取扱方針 | 1 |
章別の書き方とサンプル文面
第1章:プロジェクト概要
第2章:自社の現状
第3章:プロジェクト要件
第4章:制約条件
第5章:提案依頼事項
第6〜10章
スケジュール、提出方法、契約条件、機密保持を簡潔に。
避けるべき抽象表現と書き換え例
| NG | OK |
|---|---|
| 最新技術を活用したシステム | 2026年4月時点で5年以内の運用実績がある技術スタック |
| 業務効率化を実現 | 営業1人あたり月20時間の工数削減を実現 |
| 拡張性の高い設計 | 将来的に同時接続ユーザー数を3倍に拡張可能な設計 |
| 高い品質 | 障害発生率0.1%以下、応答時間2秒以内 |
| 柔軟な対応 | 仕様変更時の対応工数・費用の見積基準を明記 |
ベンダー見積を比較可能にする条件揃え
ベンダー間の見積金額が10倍違うのは「条件が揃っていない」のが主因です。
| 揃えるべき条件 | 具体例 |
|---|---|
| 機能のスコープ | Must要件のみ vs Want含む |
| データ移行の範囲 | 過去3年分 vs 全期間 |
| ユーザー研修の範囲 | 管理者のみ vs 全社員 |
| 保守期間 | 6ヶ月 vs 24ヶ月 |
| SLA | 99.5% vs 99.9% |
よくある質問
Q1. RFP作成にどれくらい時間をかけるべきですか?
中規模プロジェクト(5,000万円規模)で2〜4週間が目安です。これを短縮すると、見積精度が下がりプロジェクト全体のリスクが増えます。
Q2. RFPは何社に送付すべきですか?
3〜5社が現実的です。1〜2社では選択肢が少なく、6社以上では比較工数が膨らみます。
Q3. ベンダーから「RFP不明確で提案できない」と言われたら?
RFPの該当箇所を見直し、不明確な部分を補足します。それでも対応できないベンダーは、自社プロジェクトのフィット感が低い可能性があります。
Q4. RFPを社内で作る vs コンサルに作ってもらうのどちらが良い?
中規模以上のプロジェクトでは、コンサル(または認定IT導入支援事業者)と協議のうえRFP作成することを推奨します。プロジェクトの方向性を社外視点で検証できます。
Q5. 稟議に通すために他に必要な資料は?
ROI試算書、リスク評価書、ベンダー比較表、契約書ドラフトの4点セットが標準です。RFPと別に整備します。
参考資料
- 独立行政法人情報処理推進機構「DX白書2024」
- 経済産業省「DX推進指標とそのガイダンス」
- 経済産業省「AI・データの利用に関する契約ガイドライン」
- 中小企業庁「中小企業白書2025」