IPA(情報処理推進機構)「ソフトウェア開発分析データ集2024」によると、システム開発プロジェクトの失敗原因のうち、最も多いのが上流工程(要件定義・基本設計)の不備だ(IPA、2024年10月公表)。要件定義とは「このシステムで何を実現したいかを文書にまとめる工程」のこと。この工程を飛ばしたり曖昧にしたりすると、開発の途中で「こんなはずじゃなかった」が連発し、追加費用と納期遅延に直結する。
本記事では、初めてシステム開発を外注する経営者に向けて、要件定義の進め方を5つのステップで解説する。IT用語はできるだけ使わない。
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要件定義とは何か
要件定義を一言で言えば、「開発会社と自社の間で、作るものの中身を書面で合意する作業」だ。
家を建てるときの設計図に相当する。設計図なしに工事を始めれば、壁の位置が違う、窓が足りないといったトラブルが起きる。システム開発もまったく同じだ。要件定義は「設計図を作る工程」であり、ここを省くと後工程のやり直し(手戻り)が増える。
費用の目安としては、開発全体の10-15%を要件定義に充てるのが一般的だ(IPA「ソフトウェア開発分析データ集2024」の中規模案件データに基づく)。
なぜ要件定義が重要か
IPAの分析によれば、プロジェクトの失敗原因は「上流工程の不備」が最上位を占める(IPA「ソフトウェア開発分析データ集2024」)。具体的には、以下のような事態が起こる。
- 「この機能が入っていない」と後から気づき、追加開発費が発生する
- 自社の業務の流れと画面の動きが合わず、現場が使えないシステムができる
- 開発会社との認識のズレが積み重なり、検収(完成確認)で揉める
要件定義の進め方5ステップ
ステップ1:現状を整理する
まず「今、どうやって仕事を回しているか」を書き出す。紙のノート、Excel、口頭の伝達——今の業務の流れを「見える化」する作業だ。
- 誰が、何を、どの順番でやっているか
- どこで時間がかかっているか
- どの作業が特定の人にしかできないか(属人化しているか)
ステップ2:課題を抽出する
現状を整理したら、「何が困っているか」を具体的に挙げる。
- 「毎月の請求書作成に丸2日かかっている」
- 「在庫数がExcelと実物で合わないことが月に3回ある」
- 「ベテランのAさんしか発注処理ができない」
ステップ3:必要な機能をリストにする
課題ごとに「システムに何をさせたいか」を書き出す。この段階では技術的な実現方法を考える必要はない。「やりたいこと」のリストを作ればよい。
例:
| 課題 | やりたいこと |
|---|---|
| 請求書作成に2日かかる | 売上データから請求書を自動作成したい |
| 在庫数がExcelと合わない | 入出庫をバーコードで記録して在庫をリアルタイムで見たい |
| Aさんしか発注できない | 画面の指示に従えば誰でも発注できるようにしたい |
ステップ4:優先順位をつける
全ての機能を一度に作ろうとすると、費用が膨らみ、開発期間も伸びる。JISA(情報サービス産業協会)の調査でも、段階リリースにより各フェーズでのリスク検知が早まり、成功率が向上するとされている。
優先順位のつけ方は単純だ。
- 最優先:これがないと業務が回らない(または重大なミスが起きる)
- 次に対応:あると業務が楽になるが、なくても当面は回る
- 将来対応:余裕ができたら取り組む
ステップ5:文書にまとめて合意する
ステップ1-4の内容を1つの文書にまとめ、開発会社と書面で合意する。口頭だけの打ち合わせは、後から「言った・言わない」のトラブルになる。
文書に含めるべき内容は以下の通りだ。
- 業務の現状と課題
- 必要な機能のリスト(優先順位付き)
- 対象範囲(今回作るもの・作らないもの)
- 画面イメージ(手書きのスケッチでも構わない)
要件定義を始める前に、まず「いくらが妥当か」の目安を知っておくと安心だ。
見積シミュレーションでは、業務内容と規模をもとに開発費用の概算を確認できます。要件定義の費用感も含めてお伝えします。開発事例はこちらもご参照ください。
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よくある失敗3つ
失敗1:要件定義を「無駄なコスト」として省略する
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「早く作ってほしい」「要件定義に費用をかけたくない」という理由で省略すると、開発中に仕様変更が頻発する。IPAの分析では、上流工程を省略したプロジェクトは手戻りコストが増大し、結果的にコスト超過につながるケースが多いと指摘されている。
失敗2:経営者だけで要件を決め、現場に確認しない
実際にシステムを使う現場担当者の意見を聞かずに要件を固めると、完成後に「使いにくい」「業務の流れと合わない」という事態になる。要件定義の段階で、現場のキーパーソンを必ず参加させるべきだ。
失敗3:「あれもこれも」と機能を盛り込みすぎる
一度に全てを作ろうとすると、予算オーバーやプロジェクト頓挫のリスクが高まる。最も業務インパクトの大きい機能から段階的に開発する「フェーズ分け」が有効だ。
費用の全体像を把握するなら
システム開発の費用相場、発注の流れ、予算の組み方については、中小企業のためのシステム開発費用ガイドで体系的に解説している。要件定義の費用感を含めた全体像の把握に役立つ。
また、会社概要では開発体制や対応領域を確認できる。
まとめ
要件定義は「設計図を作る工程」であり、システム開発の成否を左右する最重要ステップだ。現状整理、課題抽出、機能リスト、優先順位、文書化の5ステップを踏めば、初めての外注でも「こんなはずじゃなかった」を防げる。
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FAQ
Q1. 要件定義にはどのくらいの期間がかかる?
案件の規模による。中小企業の業務システム(受発注管理、在庫管理等)であれば、2-4週間が一般的だ。IPA「ソフトウェア開発分析データ集2024」でも、要件定義は全体工程の10-15%程度の期間を占めるとされている。
Q2. 要件定義だけを別の会社に頼むことはできる?
可能だ。要件定義を専門で請け負う会社やコンサルタントも存在する。ただし、要件定義と開発を別会社に分けると、引き継ぎ時に認識のズレが発生するリスクがある。可能であれば、要件定義から開発まで一貫して担当できる会社に依頼するほうがスムーズだ。
Q3. 要件定義の費用はどのくらいかかる?
開発全体の10-15%が目安だ(IPA「ソフトウェア開発分析データ集2024」参照)。例えば、開発費用が1,000万円の案件であれば、要件定義は100-150万円程度となる。この費用を惜しんで省略すると、手戻りによる追加費用が2-3倍に膨らむケースも珍しくない。
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参考資料
- IPA(情報処理推進機構)「ソフトウェア開発分析データ集2024」 https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/metrics/publish-data.html
- JISA(情報サービス産業協会)「情報サービス産業 基本統計調査 2024年版」(2024年6月公表) https://www.jisa.or.jp/Portals/0/resource/statistics/
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