「IT 担当を採用すべきか、外注で回し続けるべきか」――100-300 名規模の中堅企業 経営者・管理部長が必ず突き当たる判断だ。 採用難度は上昇、外注単価も右肩上がり。本記事は 7 軸の判断フレームと 3 年 TCO シミュレーションで、業務領域別の最適解を整理する。
目次
100-300 名規模 IT 人材問題の構造
| 項目 | 状況(2026 年) |
|---|---|
| IT 専任人数 | 0-2 名が大半 |
| IT 予算 | 売上の 0.8-1.5% |
| 経営層の IT 理解 | バラつき大、CIO 不在多数 |
| 採用難度 | 中途 IT 人材は大手・SaaS が買い負け |
| 外注単価 | SES 1 人月 90-160 万円、PM 130-200 万円 |
100-300 名は「専任 1-2 名で全 IT 領域を担うのは無理、全部外注は予算超過」という板挟み構造。
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7 軸判断フレーム
| 軸 | 内製有利 | 外注有利 |
|---|---|---|
| 1. 業務頻度 | 週次以上 | 月次未満 |
| 2. 専門性 | 自社業務固有 | 汎用技術 |
| 3. 機密性 | 顧客情報・財務 | 公開情報・周辺領域 |
| 4. 採用難度 | 採用可能 | 市場枯渇 |
| 5. 撤退コスト | 低(雇用調整可) | 高(ベンダーロック) |
| 6. 教育期間 | 3 ヶ月以内 | 6 ヶ月超 |
| 7. 3 年 TCO | 内製 < 外注 70% | 内製 > 外注 130% |
7 軸中 4 軸以上が内製有利なら採用検討、3 軸以下なら外注継続が定石。
軸別の判定基準
軸 1: 業務頻度
週次以上 → 内製化候補(運用・小改修・問合せ対応)
月次以下 → 外注で十分(年次監査・大規模改修)
軸 2: 専門性
自社固有(業務 SaaS 連携、独自 KPI 集計)→ 内製
汎用(インフラ構築、セキュリティ初期設定)→ 外注
軸 3: 機密性
顧客名簿・財務・人事 → 内製優先
社外公開予定の Web、マーケ周辺 → 外注可
軸 4: 採用難度(2026 年市場)
| 職種 | 採用難度 | 中途想定年収(中堅企業) |
|---|---|---|
| 業務システム担当 | 中 | 480-650 万円 |
| インフラ担当 | 高 | 550-750 万円 |
| データエンジニア | 高 | 600-850 万円 |
| AI/ML エンジニア | 極高 | 700-1,200 万円 |
| 情シスマネージャ | 中 | 700-1,000 万円 |
中堅企業の中途採用は大手と SIer に買い負けやすい。年収レンジ + リモート可 + 学習機会の 3 点セットが必要。
軸 5: 撤退コスト
内製撤退 → 配置転換・希望退職、3-6 ヶ月で完了
外注撤退 → 引継ぎ 3-6 ヶ月、ドキュメント整備、ベンダー切替コスト発生
ベンダーロック深いと撤退コスト > 年間外注費
軸 6: 教育期間
3 ヶ月以内で戦力化可能 → 内製ハードル低
6 ヶ月超 → 外注で経験者起用が早い
軸 7: 3 年 TCO
詳細は次セクション。内製が外注の 70% 以下になれば内製優位。
業務領域別 最適解マトリクス
| 領域 | 推奨 | 理由 |
|---|---|---|
| ヘルプデスク・端末管理 | 内製 1 名 + 外部 MSP | 頻度高、機密低、教育短 |
| 業務システム運用 | 内製主・外注補 | 自社固有、頻度高 |
| インフラ構築・更改 | 外注 | 頻度低、専門性高 |
| セキュリティ運用(SOC) | 外注 MSSP | 24/365 体制が必要 |
| データ分析・BI | 内製 1 名 | 自社 KPI 理解必須 |
| AI/ML 内製開発 | 外注 PoC + 内製運用 | 採用難、PoC で学習 |
| 内製開発(業務改善ツール) | 内製 + ローコード | 頻度高、要件変動大 |
| 大規模 ERP 導入 | 外注 | 専門性極高、頻度低 |
3 年 TCO シミュレーション
ケース A: 業務システム担当 1 名
内製コスト(3 年)
年収 600 万 × 1.5 倍(社保・福利) × 3 年 = 2,700 万円
教育費 50 万円
合計 2,750 万円
外注コスト(同等業務量)
120 万 × 12 ヶ月 × 3 年 = 4,320 万円
内製優位(外注の 64%)
ケース B: AI/ML エンジニア 1 名
内製コスト(3 年)
年収 950 万 × 1.5 × 3 年 = 4,275 万円
教育費 200 万円
合計 4,475 万円
外注コスト(フリーランス 200 万 × 12 ヶ月 × 3 年)
7,200 万円
ただし採用確度 30-50%、採用失敗時は外注継続
期待値で内製と外注のハイブリッドが現実解
ケース C: 情シス全領域 兼任 1 名(過負荷想定)
内製 1 名で全領域は破綻、品質低下と離職リスク高
推奨: 内製 1 名(戦略・調整)+ 外注(実装・運用)
3 年 TCO 約 3,500-4,500 万円、品質と継続性のバランス
90 日 移行プラン
Day 1-30: 棚卸しと判定
- IT 業務一覧化(運用・改修・障害対応・新規)
- 7 軸で領域別判定
- 内製候補と外注継続候補に分類
Day 31-60: 採用準備または契約見直し
- 内製採用: 求人票作成、エージェント 3 社接触、リファラル開始
- 外注見直し: 単価交渉、SLA 再定義、引継ぎ範囲明確化
Day 61-90: 試行とドキュメント整備
- 内製候補ポジション: 業務委託で 1-2 ヶ月試行可
- ベンダー: 月次レビュー定例化、運用手順書整備
- 経営報告: 3 年 TCO と判断軸を取締役会に提示
CTA
「IT 担当を採用すべきか、外注で回し続けるべきか判断できない」
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よくある質問(FAQ)
Q. 採用がどうしても決まらない場合は? A. CTO/情シス顧問契約(月 30-60 万円)で戦略レイヤーだけ確保し、実装は外注継続が現実解。
Q. 既存ベンダーと別れにくい場合の交渉ポイントは? A. 単価ではなく SLA・納期・人員固定の 3 点で再交渉。並行して別ベンダーに RFP を出して相場を握る。
Q. 内製化したが離職した場合のリスク対応は? A. ドキュメント標準(運用手順・障害対応 Runbook)を入社 90 日以内に整備義務化、外注先と維持契約を残す。
参考資料
- 経済産業省「DX 推進人材の育成・確保に向けて」
- 情報処理推進機構(IPA)「IT 人材白書」
- 中小企業庁「中小企業の人材確保支援」
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