「GA4に切り替わったけど、何を見ればいいかわからない」——中小企業のIT担当者やWeb担当者から最も多く聞かれる声だ。旧Googleアナリティクス(UA)からGA4への移行後、画面構成が大幅に変わり、これまでの操作感が通用しなくなった。

総務省「令和6年版 情報通信白書」によると、中小企業のWebサイト保有率は約90%に達しているが、アクセス解析を「定期的に分析して施策に活用している」企業は3割に満たない。GA4の画面を開いてはいるが、数字をどう読み、どう改善に繋げるかがわからない——これが多くの企業の実態だ。

本記事では、GA4を初めて本格的に使う人向けに、最初に見るべき3つのレポートと、レポートから改善アクションを導く手順を解説する。


GA4とUAの根本的な違い

GA4を使いこなすには、まずUAとの違いを理解する必要がある。

項目UA(旧アナリティクス)GA4
計測単位ページビュー中心イベント中心
セッション定義30分無操作でリセット同様だがイベントベース
直帰率あり(1ページのみで離脱)エンゲージメント率に置き換え
コンバージョン目標として設定キーイベントとして設定
レポート構成固定レポートが充実探索レポートで自由に作成
最大の変化は「ページビュー」から「イベント」への転換だ。GA4ではページの閲覧、ボタンのクリック、スクロール、ファイルのダウンロードなど、すべてのユーザー行動が「イベント」として記録される。

最初に確認すべき3つの設定

レポートを見る前に、以下の3つが正しく設定されているか確認する。

1. データ保持期間の変更

GA4のデフォルトのデータ保持期間は2か月だ。これでは長期的な分析ができない。管理 > データ設定 > データ保持から「14か月」に変更する。

2. 内部トラフィックの除外

自社社員のアクセスがデータに含まれると、正確な分析ができない。管理 > データストリーム > タグ設定 > 内部トラフィックの定義で自社のIPアドレスを登録し、管理 > データ設定 > データフィルタで内部トラフィックフィルタを有効にする。

3. キーイベント(コンバージョン)の設定

「問い合わせフォーム送信」「資料ダウンロード」など、ビジネス上の成果となるアクションをキーイベントとして設定する。管理 > キーイベントからイベント名を指定するだけで設定できる。


レポート1:集客レポート——「どこから来ているか」を把握する

レポート > 集客 > トラフィック獲得を開く。

見るべき指標

指標意味目安
セッション訪問回数業種・規模による
ユーザーユニークな訪問者数セッションの70〜80%が目安
エンゲージメント率有意義な訪問の割合50%以上が合格ライン
セッションあたりの平均エンゲージメント時間1訪問あたりの滞在時間1分以上を目指す

チャネルの見方

チャネル意味少ない場合の対策
Organic SearchGoogle等の検索流入SEO対策を強化
DirectURL直接入力やブックマークブランド認知施策を強化
Referral他サイトからのリンク業界メディアへの露出を増やす
Organic SocialSNSからの流入SNS運用を開始/強化
Paid Search検索広告からの流入広告予算の最適化

レポート2:エンゲージメントレポート——「何を見ているか」を把握する

レポート > エンゲージメント > ページとスクリーンを開く。

見るべきポイント

表示回数が多いページのリストを確認し、以下を判断する。

  • 想定通りのページが上位にあるか?:トップページやサービスページが上位なら正常。意図しないページが上位にある場合は、サイト構造に問題がある可能性
  • エンゲージメント率が低いページはどれか?:50%を下回るページはコンテンツの改善が必要
  • 平均エンゲージメント時間が短いページはどれか?:10秒以下のページは「読まれていない」サイン

改善アクションの導き方

  1. エンゲージメント率が低いページのリストを作成
  2. そのページの流入元を確認(集客レポートでフィルタ)
  3. 流入キーワードとページ内容にミスマッチがないか確認
  4. ミスマッチがあれば、タイトル・リード文・見出し構成を修正

レポート3:探索レポート——「なぜ離脱するか」を分析する

GA4の真価は「探索」にある。定型レポートでは見えない深い分析が可能だ。

ファネル分析の作り方

  1. 探索 > 空白を選択
  2. 手法を「ファネルデータ探索」に変更
  3. ステップを設定:
- ステップ1:セッション開始(session_start)

- ステップ2:ページビュー(特定ページ、例:サービスページ) - ステップ3:キーイベント(例:問い合わせフォーム送信)

  1. 各ステップ間の離脱率を確認

ステップ間の離脱率が高い箇所がボトルネックだ。たとえば、サービスページから問い合わせへの遷移率が5%以下であれば、CTAの配置や文言の改善が必要だ。


GA4レポートを月次業務に組み込む方法

GA4は「たまに見る」ものではなく、月次のルーティンに組み込むべきだ。

月次レポートのテンプレート

項目確認内容使うレポート
全体トレンドセッション数・ユーザー数の前月比レポート > レポートのスナップショット
集客チャネル各チャネルの増減と新規チャネルの有無トラフィック獲得
主要ページ上位10ページのエンゲージメント率変動ページとスクリーン
コンバージョンキーイベント数と前月比キーイベント
改善アクション今月実施する施策3つ上記の分析結果から導出

まとめ

GA4は「見る」ツールではなく「改善に使う」ツールだ。最初から全機能を使いこなす必要はない。まず集客レポートで「どこから来ているか」を把握し、エンゲージメントレポートで「何が読まれているか」を確認し、探索レポートで「どこで離脱しているか」を分析する。この3ステップを月次で回すだけで、Webサイトの改善サイクルが動き出す。


GXO実務追記: システム開発・DX投資で発注前に確認すべきこと

この記事のテーマは、単なるトレンド紹介ではなく、要件定義、費用、開発体制、ベンダー選定、保守運用を決めるための検討材料です。検索で情報収集している段階でも、発注前に次の観点を整理しておくと、見積もりのブレ、手戻り、ベンダー依存を減らせます。

まず決めるべき3つの論点

論点確認する内容未整理のまま進めた場合のリスク
目的売上拡大、工数削減、リスク低減、顧客体験改善のどれを優先するか成果指標が曖昧になり、PoCや開発が終わっても投資判断できない
範囲対象部署、対象業務、対象データ、対象システムをどこまで含めるか見積もりが膨らむ、または重要な連携が後から漏れる
体制自社責任者、現場担当、ベンダー、保守運用者をどう置くか要件確認が遅れ、納期遅延や品質低下につながる

費用・期間・体制の目安

フェーズ期間目安主な成果物GXOが見るポイント
事前診断1〜2週間課題整理、現行確認、投資判断メモ目的と範囲が商談前に整理されているか
要件定義 / 設計3〜6週間要件一覧、RFP、概算見積、ロードマップ見積比較できる粒度になっているか
PoC / MVP1〜3ヶ月検証環境、効果測定、リスク評価本番化判断に必要な数値が取れるか
本番導入3〜6ヶ月本番環境、運用設計、教育、改善計画導入後の運用責任と改善サイクルがあるか

発注前チェックリスト

  • [ ] 発注前に目的、対象業務、利用者、現行課題を1枚に整理したか
  • [ ] 必須要件、将来要件、今回はやらない要件を分けたか
  • [ ] 見積比較で、開発費だけでなく保守費、運用費、追加改修費を見たか
  • [ ] ベンダー選定で、体制、実績、品質管理、セキュリティ、引継ぎ条件を確認したか
  • [ ] 検収条件を機能、性能、セキュリティ、ドキュメントで定義したか
  • [ ] リリース後3ヶ月の改善運用と責任分界を決めたか

参考にすべき一次情報・公的情報

上記の一次情報は、社内稟議やベンダー比較の根拠として使えます。一方で、公開情報だけでは自社の現行システム、業務フロー、データ状態、予算制約までは判断できません。記事で一般論を把握した後は、自社条件に落とした診断が必要です。

GXOに相談するタイミング

次のいずれかに当てはまる場合は、記事を読み進めるだけでなく、早めに相談した方が安全です。

  • 見積もり依頼前に、要件やRFPの粒度を整えたい
  • 既存ベンダーの提案が妥当か第三者視点で確認したい
  • 補助金、AI、セキュリティ、レガシー刷新が絡み、判断軸が複雑になっている
  • 社内稟議で費用対効果、リスク、ロードマップを説明する必要がある
  • PoCや診断で終わらせず、本番導入と運用改善まで進めたい

GA4入門|初心者向けレポート作成とアクセス解析の基本操作ガイドを自社条件で診断したい方へ

GXOが、現状整理、RFP/要件定義、費用対効果、ベンダー比較、導入ロードマップまで実務目線で確認します。記事の一般論を、自社の投資判断に使える形へ落とし込みます。

システム開発費用・要件診断を相談する

※ 初回相談では営業資料の説明よりも、現状・課題・判断材料の整理を優先します。

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