経済産業省の調査によると、2025年の日本国内BtoC-EC市場規模は約25兆円に達し、前年比9.2%増で拡大を続けています。この成長を背景に「自社ECサイトを構築したい」という企業の検索は右肩上がりですが、最大の障壁は「費用がいくらかかるか分からない」という不透明さです。
実際、ECサイトの構築費用はShopifyで30万円から始められる一方、フルスクラッチなら3,000万円を超えるケースもあり、選択肢によって10倍以上の差が開きます。本記事では、プラットフォーム別・機能別・規模別にECサイト構築の費用相場を整理し、自社に最適な選択肢を判断するための完全ガイドをお届けします。
目次
- プラットフォーム別の費用相場一覧
- 機能別の追加開発コスト
- BtoB ECとBtoC ECの費用差
- SaaS型 vs 自社開発、どちらを選ぶべきか
- EC構築の開発会社を選ぶポイント
- ECサイト構築の費用を抑える方法
- よくある質問(FAQ)
1. プラットフォーム別の費用相場一覧
ECサイト構築の費用は、どのプラットフォームを選ぶかで大きく変わります。以下は2026年時点の市場相場です。
主要プラットフォーム比較表
| プラットフォーム | 初期構築費用 | 月額ランニングコスト | 開発期間 | カスタマイズ性 | 向いている規模 |
|---|---|---|---|---|---|
| Shopify | 30〜300万円 | 月額$39〜$399+決済手数料3.25〜3.55% | 2週間〜3ヶ月 | 中 | 小〜中規模 |
| EC-CUBE | 100〜500万円 | サーバー費1〜10万円/月 | 1〜6ヶ月 | 高 | 中規模 |
| Magento(Adobe Commerce) | 200〜1,000万円 | ライセンス+サーバー費10〜50万円/月 | 3〜12ヶ月 | 非常に高 | 中〜大規模 |
| フルスクラッチ | 500〜3,000万円 | 保守費20〜100万円/月 | 6〜18ヶ月 | 最高 | 大規模・特殊要件 |
| BASE / STORES | 0〜30万円 | 無料プラン有+決済手数料3.6〜6.6% | 即日〜2週間 | 低 | 個人〜小規模 |
各プラットフォームの詳細
Shopify(30〜300万円)
世界シェアNo.1のECプラットフォーム。日本語対応も充実し、2025年以降は国内導入が急増しています。テーマカスタマイズだけなら30〜80万円、Shopify Plus(大規模向け)でカスタムアプリ開発を含めると200〜300万円が目安です。決済手数料が別途かかる点に注意が必要です。
EC-CUBE(100〜500万円)
国産オープンソースECパッケージで、日本の商習慣(ポイント・クーポン・定期購入・コンビニ決済)に標準対応しています。オープンソースのためライセンス費用は無料ですが、構築にはPHPエンジニアが必要で、カスタマイズ範囲によって100〜500万円の幅があります。
Magento / Adobe Commerce(200〜1,000万円)
多言語・多通貨・複数倉庫対応など、グローバルEC向けの機能が充実。大規模なBtoBカタログ販売にも対応可能ですが、構築・運用に高度な技術力が必要で、開発費用は200万円以上が一般的です。
フルスクラッチ(500〜3,000万円)
既存の基幹システムとの深い連携、独自の受注ロジック、特殊な物流フローがある場合はフルスクラッチ開発が選択肢になります。自由度は最高ですが、費用・期間ともに最大です。
セクションまとめ:年商1億円未満ならShopify、日本特有の要件が多いならEC-CUBE、グローバル展開ならMagento、既存システムとの深い連携が必須ならフルスクラッチが基本的な選択基準です。
ECサイト構築の費用感を知りたい方へ
GXO株式会社では、Shopify構築からフルスクラッチ開発まで、貴社の規模・要件に最適なECサイト構築をご提案します。「どのプラットフォームを選ぶべきか」からご相談いただけます。
2. 機能別の追加開発コスト
ECサイトの基本構築費に加えて、必要な機能ごとに追加コストが発生します。以下は主要機能の開発費用目安です。
基本機能の費用目安
| 機能 | 費用目安 | 工数目安 | 備考 |
|---|---|---|---|
| カート・決済連携 | 20〜80万円 | 1〜3人月 | クレジット/コンビニ/銀行振込/後払い |
| 会員登録・マイページ | 30〜100万円 | 1〜4人月 | ポイント管理含む場合は上限寄り |
| 商品検索・フィルタリング | 20〜60万円 | 1〜2人月 | ファセット検索は追加 |
| レスポンシブデザイン | 30〜80万円 | 1〜3人月 | モバイルファースト設計 |
| 管理画面(受注・在庫管理) | 50〜150万円 | 2〜5人月 | 既存システム連携で変動 |
高度機能の費用目安
| 機能 | 費用目安 | 工数目安 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 在庫連携(WMS/ERP) | 50〜200万円 | 2〜6人月 | API連携の複雑さで変動 |
| CRM連携(Salesforce等) | 30〜150万円 | 1〜5人月 | データマッピングが鍵 |
| 定期購入(サブスクリプション) | 50〜150万円 | 2〜5人月 | 課金サイクル管理が複雑 |
| 多言語・多通貨対応 | 50〜200万円 | 2〜6人月 | 翻訳管理システム含む |
| AIレコメンドエンジン | 80〜300万円 | 3〜8人月 | 協調フィルタリング/AI分析 |
| オムニチャネル連携(POS等) | 100〜300万円 | 3〜8人月 | 実店舗との在庫・売上統合 |
見落としがちな費用
- SSL証明書:年間0〜10万円(Let's Encrypt無料〜EV証明書)
- 決済代行サービス初期費用:0〜5万円
- 商品データ登録代行:1商品500〜2,000円(100商品で5〜20万円)
- デザインカスタマイズ:LP制作10〜30万円/ページ
- SEO初期設定:10〜30万円
セクションまとめ:基本構築費だけでなく、必要な機能の追加コストまで含めた総額で比較しましょう。特に在庫連携やCRM連携は見積もりに入れ忘れるケースが多いため要注意です。
3. BtoB ECとBtoC ECの費用差
同じECサイトでも、BtoBとBtoCでは必要な機能や設計思想が大きく異なり、費用にも差が出ます。
BtoB EC特有の要件と費用
| 要件 | BtoC EC | BtoB EC | 費用差の理由 |
|---|---|---|---|
| 価格設定 | 一律価格 | 取引先別単価・ロット割引 | 価格マスタの設計が複雑 |
| 決済方法 | クレジット・後払い中心 | 掛け売り・請求書払い中心 | 与信管理・請求書発行機能が必要 |
| 承認フロー | 不要 | 発注承認ワークフロー | 権限管理の設計が必要 |
| カタログ | シンプル | 大量SKU+仕様書PDF | 商品情報管理の複雑さ |
| 受注処理 | 自動処理 | FAX/電話注文の併用対応 | マルチチャネル受注の統合 |
BtoB ECの構築費用目安:200〜1,500万円
BtoBは取引先別の価格管理、掛け売り対応、承認ワークフロー、FAX注文のデジタル化など、BtoCにはない業務ロジックの実装が必要なため、1.5〜2倍程度の費用差が生じます。
セクションまとめ:BtoB ECはBtoCの1.5〜2倍の費用が目安です。「BtoC向けのSaaSをBtoBに転用」すると後から大幅な改修が必要になるため、最初から要件を正しく定義しましょう。
4. SaaS型 vs 自社開発、どちらを選ぶべきか
ECサイト構築における最大の分岐点は「SaaS型を使うか、自社開発するか」です。
判断基準チェックリスト
| 判断項目 | SaaS型が向く | 自社開発が向く |
|---|---|---|
| 年商規模 | 1億円未満 | 1億円以上 |
| 商品数 | 〜1万点 | 1万点以上 |
| 既存システム連携 | 不要〜軽微 | 基幹システムとの深い連携が必須 |
| 受注ロジック | 標準的 | 独自の業務フローがある |
| 多言語対応 | 不要〜2言語程度 | 3言語以上 |
| 初期予算 | 300万円以内 | 500万円以上 |
| 独自機能 | 不要 | ECが事業の競争優位 |
5年間の総コスト比較
| 項目 | Shopify(SaaS型) | EC-CUBE(中間) | フルスクラッチ |
|---|---|---|---|
| 初期構築 | 100万円 | 300万円 | 1,000万円 |
| 月額ランニング | 5万円×60ヶ月 | 8万円×60ヶ月 | 30万円×60ヶ月 |
| 機能追加(5年間) | 100万円 | 200万円 | 500万円 |
| 5年間総額 | 500万円 | 980万円 | 3,300万円 |
セクションまとめ:まずSaaS型で始め、年商や要件の拡大に合わせてカスタム開発へ移行する「段階的アプローチ」が最もリスクの低い戦略です。中小企業のシステム開発全般の費用感については中小企業向けシステム開発費用ガイドも参考になります。
5. EC構築の開発会社を選ぶポイント
ポイント1:EC構築の実績とプラットフォーム対応力
EC構築の実績があるか、選定したプラットフォーム(Shopify/EC-CUBE等)の認定パートナーや導入実績があるかを確認しましょう。
ポイント2:デザイン力とUI/UX設計
ECサイトはデザインが売上に直結します。ポートフォリオを確認し、ターゲット顧客に合ったUI/UX設計ができるかを見極めてください。
ポイント3:マーケティング連携の知見
構築して終わりではなく、SEO対策・広告連携・CRM連携など、「売れるEC」を実現するマーケティング知見があるかが重要です。
ポイント4:保守・運用体制
リリース後のサーバー監視、セキュリティアップデート、機能追加対応の体制があるかを確認しましょう。ECサイトは24時間稼働するため、障害対応のSLAも重要です。
ポイント5:見積もりの透明性
工数内訳が明確に提示されるか、追加費用の条件が契約に明記されているか。見積もりの読み方についてはシステム開発見積もり内訳ガイドで詳しく解説しています。
セクションまとめ:EC構築は「作って終わり」ではなく「作ってからが勝負」です。構築実績・UI/UX力・マーケティング知見・保守体制・見積もり透明性の5点で比較しましょう。福岡エリアでの開発会社選びは福岡のシステム開発会社おすすめ10選もご覧ください。
6. ECサイト構築の費用を抑える方法
方法1:MVP(最小限の機能)でスタート
すべての機能を初期実装するのではなく、まず「商品掲載・カート・決済・会員登録」の最低限で始め、売上データを見ながら段階的に機能を追加する方法が最もコスト効率が高いです。
方法2:補助金の活用
EC構築は「IT導入補助金」「事業再構築補助金」「小規模事業者持続化補助金」の対象になる可能性があります。補助率は1/2〜2/3で、最大450万円の補助が得られるケースもあります。詳しくは補助金完全ガイドをご確認ください。
方法3:SaaS型からの段階的移行
Shopifyで初期運用を開始し、月商が一定規模を超えた段階でEC-CUBEやフルスクラッチへ移行するアプローチも有効です。
方法4:既存テーマ・テンプレートの活用
フルオーダーのデザインではなく、既存テーマをベースにカスタマイズすることで、デザイン費用を50〜70%削減できます。
セクションまとめ:MVPスタート・補助金活用・段階的移行・テーマ活用の4つを組み合わせることで、初期費用を当初見積もりの30〜50%に圧縮できるケースもあります。
7. よくある質問(FAQ)
Q1. ECサイト構築にどのくらいの期間がかかりますか?
Shopify+テーマカスタマイズなら2週間〜1ヶ月、EC-CUBEで2〜4ヶ月、フルスクラッチなら6〜18ヶ月が目安です。要件定義から含めると+1〜2ヶ月加算してください。
Q2. 自社にエンジニアがいなくても大丈夫ですか?
はい。Shopifyなどの管理画面で運用可能な範囲であれば、エンジニア不要で日常運用できます。カスタム開発が必要な場合は開発会社に保守を委託するのが一般的です。初めてのシステム開発外注についてはシステム開発外注ガイドをご参照ください。
Q3. 既存の実店舗と在庫を共有できますか?
可能です。POS連携やWMS連携により実店舗とオンラインの在庫を一元管理できます。ただし連携の複雑さによって50〜300万円の追加費用が発生します。
Q4. ECサイトのセキュリティ対策の費用は?
SSL証明書(0〜10万円/年)、WAF導入(月1〜5万円)、PCI DSS準拠対応(カード情報を自社保持する場合100万円以上)が主な費用です。決済代行サービスを利用すればPCI DSS対応は不要になります。
Q5. モール出店(Amazon/楽天)と自社ECはどちらがいいですか?
併用がおすすめです。モールは集客力が高い一方、手数料が8〜15%かかり、顧客データを自社で保持できません。自社ECは利益率が高くCRM施策が打てるため、モールで認知を獲得し自社ECで利益を最大化する戦略が有効です。
Q6. 運用後のランニングコストはどのくらいですか?
Shopifyなら月額3〜10万円(プラン+アプリ+決済手数料)、EC-CUBEなら月額5〜15万円(サーバー+保守)、フルスクラッチなら月額20〜100万円(インフラ+保守+運用)が目安です。Webシステム全般の費用内訳はWebシステム開発費用の完全内訳で解説しています。
ECサイト構築の無料相談・見積もりはこちら
GXO株式会社は、Shopify構築からEC-CUBEカスタマイズ、フルスクラッチのEC開発まで一貫対応。東京・新宿を拠点に、ECサイトの企画・設計・開発・運用保守をワンストップで支援します。「どのプラットフォームが最適か分からない」という段階からお気軽にご相談ください。