axios の連続 CVE は「ライブラリ側のバグ」だが、企業システムでの実害の半分以上は「使い方のバグ」が原因だ。 SSRF を防ぐ baseURL 設計、timeout 未設定の連鎖障害、interceptor でトークンが第三者ドメインに漏れる事故――これらは axios のバージョン更新では防げない。本記事では、コードレビューで即使える 12 項目チェックリストを実コード例付きで提示する。


目次

  1. チェックリスト 12 項目 概要
  2. SSRF 対策(baseURL/allowAbsoluteUrls)
  3. timeout 設定(接続/レスポンス/総時間)
  4. CSRF トークン送信の正しい設計
  5. interceptor のトークン漏洩リスク
  6. proxy 設定の罠
  7. redirect の自動追従を制御する
  8. JSON 解析と Prototype Pollution
  9. エラーハンドリングと情報漏洩
  10. コードレビュー用 12 項目チェックリスト
  11. よくある質問(FAQ)

チェックリスト 12 項目 概要

#項目リスクレベル検知方法
1baseURL に外部由来文字列を結合していないgrep
2allowAbsoluteUrls: false を明示grep
3timeout を必ず設定(5-30 秒)grep
4maxRedirects を制御(既定値の見直し)grep
5maxContentLength/maxBodyLength で DoS 防止grep
6CSRF トークンを meta タグから注入grep
7interceptor で他ドメインに Authorization を漏らさないレビュー必須
8proxy 経由時の TLS 検証無効化禁止grep
9レスポンスを `responseType: 'json'` 明示grep
10エラーログに request body を含めないレビュー
11retry に exponential backoff+上限レビュー
121.15.0 以降を使用(CVE-2026-40175 対応)必須package.json

SSRF 対策

NG パターン(ユーザー入力を baseURL/url に直結合)

外部ユーザーが `http://169.254.169.254/latest/meta-data/` を渡すと AWS メタデータエンドポイントに到達。

OK パターン(allowlist + 絶対 URL 拒否)


timeout 設定

接続 timeout(OS レベル)とレスポンス timeout(axios レベル)と総時間(AbortSignal)の 3 段で守る。


CSRF トークン送信の正しい設計

`xsrfCookieName` / `xsrfHeaderName` 既定の使用は同一オリジンのみ。CDN 経由 API では meta タグからの注入が確実。


interceptor のトークン漏洩リスク

NG パターン(外部 URL リダイレクト時に Authorization を引き継ぐ)

axios は redirect 時に Authorization を引き継がないが、interceptor で全リクエストに付与する設計だと、redirect 後の外部ドメイン宛にも付与される。

OK パターン(自社ドメイン限定)


proxy 設定の罠

NG: `process.env.NODE_TLS_REJECT_UNAUTHORIZED = '0'` で TLS 検証を無効化する。CI のデバッグで仕込んだまま本番に流出する事故が多発。


redirect の自動追従を制御する

OAuth コールバックなど redirect が前提の処理では、`maxRedirects: 0` + 手動制御が安全。リダイレクト URL の検証ロジックを噛ませる。


JSON 解析と Prototype Pollution

CVE-2026-40175 のような Prototype Pollution は、応答 JSON に `__proto__` キーが含まれた時に発生。1.15.0 以上であれば既定で防御されるが、自前で `JSON.parse` 結果を再帰マージする処理がある場合は別途対策が必要。


エラーハンドリングと情報漏洩

NG パターン

OK パターン


retry に exponential backoff+上限


コードレビュー用 12 項目チェックリスト


よくある質問(FAQ)

Q. 既存コード 100 callsite で 12 項目全部レビューするのは現実的? A. 12 項目のうち 1-3/6/8/12 は grep で 30 分以内に網羅可能。7/10/11 はコードレビュー必須。1 callsite あたり平均 3 分で 100 callsite で 5 時間が目安。

Q. axios.create() を使い回す設計と都度 new する設計、どちらが安全? A. interceptor/timeout/allowlist を一元管理する観点で、axios.create() を 1 箇所で生成して export する設計が安全。

Q. axios-retry はどのくらい広く採用されている? A. axios-retry の週次ダウンロード数は 200 万超(2026 年 4 月時点)、企業システムでもデファクト。retry 自前実装より低リスク。


参考資料

  • axios 公式ドキュメント Security Best Practices
  • OWASP API Security Top 10 2023
  • IPA「Web アプリケーション開発における脆弱性対策」2024 年版

社内コードレビュー基準への組込みやセキュリティ自動化(grep ルール/Lint 規約)の整備は、GXO のセキュリティ運用支援サービスで支援可能です。

GXO実務追記: サイバーセキュリティで発注前に確認すべきこと

この記事のテーマは、単なるトレンド紹介ではなく、自社で最初に塞ぐべきリスク、外部診断の範囲、初動体制を決めるための検討材料です。検索で情報収集している段階でも、発注前に次の観点を整理しておくと、見積もりのブレ、手戻り、ベンダー依存を減らせます。

まず決めるべき3つの論点

論点確認する内容未整理のまま進めた場合のリスク
目的売上拡大、工数削減、リスク低減、顧客体験改善のどれを優先するか成果指標が曖昧になり、PoCや開発が終わっても投資判断できない
範囲対象部署、対象業務、対象データ、対象システムをどこまで含めるか見積もりが膨らむ、または重要な連携が後から漏れる
体制自社責任者、現場担当、ベンダー、保守運用者をどう置くか要件確認が遅れ、納期遅延や品質低下につながる

費用・期間・体制の目安

フェーズ期間目安主な成果物GXOが見るポイント
事前診断1〜2週間課題整理、現行確認、投資判断メモ目的と範囲が商談前に整理されているか
要件定義 / 設計3〜6週間要件一覧、RFP、概算見積、ロードマップ見積比較できる粒度になっているか
PoC / MVP1〜3ヶ月検証環境、効果測定、リスク評価本番化判断に必要な数値が取れるか
本番導入3〜6ヶ月本番環境、運用設計、教育、改善計画導入後の運用責任と改善サイクルがあるか

発注前チェックリスト

  • [ ] 重要システムと個人情報の所在を棚卸ししたか
  • [ ] VPN、管理画面、クラウド管理者の多要素認証を必須化したか
  • [ ] バックアップの世代数、復旧時間、復旧訓練の実施日を確認したか
  • [ ] 脆弱性診断の対象をWeb、API、クラウド、社内ネットワークに分けたか
  • [ ] EDR/MDR/SOCの必要性を、監視できる人員と照らして判断したか
  • [ ] インシデント時の連絡先、意思決定者、広報/法務/顧客対応を決めたか

参考にすべき一次情報・公的情報

上記の一次情報は、社内稟議やベンダー比較の根拠として使えます。一方で、公開情報だけでは自社の現行システム、業務フロー、データ状態、予算制約までは判断できません。記事で一般論を把握した後は、自社条件に落とした診断が必要です。

GXOに相談するタイミング

次のいずれかに当てはまる場合は、記事を読み進めるだけでなく、早めに相談した方が安全です。

  • 見積もり依頼前に、要件やRFPの粒度を整えたい
  • 既存ベンダーの提案が妥当か第三者視点で確認したい
  • 補助金、AI、セキュリティ、レガシー刷新が絡み、判断軸が複雑になっている
  • 社内稟議で費用対効果、リスク、ロードマップを説明する必要がある
  • PoCや診断で終わらせず、本番導入と運用改善まで進めたい

axios セキュア使い方 チェックリスト 2026|SSRF・タイムアウト・CSRF・interceptor の落とし穴 12 項目を自社条件で診断したい方へ

GXOが、現状整理、RFP/要件定義、費用対効果、ベンダー比較、導入ロードマップまで実務目線で確認します。記事の一般論を、自社の投資判断に使える形へ落とし込みます。

セキュリティ初期診断を相談する

※ 初回相談では営業資料の説明よりも、現状・課題・判断材料の整理を優先します。