勤怠管理は企業運営の根幹を成す業務である。2019年施行の働き方改革関連法により、客観的な労働時間の把握が義務化され、手書きの出勤簿やExcel管理では法令遵守が困難になった。さらに2024年以降、建設業・運送業への時間外労働上限規制の適用拡大や、フレックスタイム制・テレワーク勤務の普及により、クラウド型勤怠管理システムの導入は中小企業にとっても喫緊の課題となっている。

本記事では、中小企業が導入しやすい勤怠管理システム10製品を、費用・機能・他システムとの連携性の観点から比較・解説する。自社に最適なシステムを選定するための判断材料として活用いただきたい。

目次

  1. 勤怠管理システムの選び方のポイント
  2. おすすめ勤怠管理システム10選
  3. 比較一覧テーブル
  4. よくある質問(FAQ)

勤怠管理システムの選び方のポイント {#選び方のポイント}

1. 自社の勤務形態に対応できるか

固定時間制、変形労働時間制、フレックスタイム制、裁量労働制、シフト制など、自社で採用している勤務形態に対応しているかを最初に確認すべきである。特に複数の勤務形態が混在する企業では、柔軟な設定が可能なシステムを選択する必要がある。

2. 打刻方法の多様性

ICカード、スマートフォンGPS打刻、PC打刻、生体認証、LINE打刻など、従業員の働き方に合った打刻方法が用意されているかを確認する。テレワーク併用の企業では、在宅勤務時の打刻手段が特に重要となる。

3. 給与計算・人事労務システムとの連携

勤怠データを給与計算に連携できなければ、結局は手作業が残る。自社で利用中の給与計算ソフトや人事労務管理システムとのAPI連携・CSV連携の可否を事前に確認することが不可欠である。

4. 法改正への対応スピード

労働基準法や関連法令は頻繁に改正される。クラウド型サービスの場合、法改正に合わせたアップデートがベンダー側で自動的に行われるかどうかが重要な選定基準となる。

5. 導入・運用コストの総額

月額料金だけでなく、初期費用、オプション費用、サポート費用を含めたトータルコストで比較する。従業員数の増減に応じて柔軟にプランを変更できるかも重要なポイントである。


おすすめ勤怠管理システム10選 {#おすすめ10選}

1. KING OF TIME

特徴: 国内シェアNo.1のクラウド勤怠管理システムである。20種類以上の打刻方法に対応し、あらゆる勤務形態をカバーする柔軟性を備えている。残業管理のアラート機能や36協定の警告機能など、コンプライアンス対応機能が充実している点も特筆に値する。

料金: 月額300円/人(税抜)、初期費用無料

向いている企業: 多様な勤務形態が混在する企業、複数拠点を持つ中堅企業、法令遵守を重視する企業


2. ジョブカン勤怠管理

特徴: シリーズ累計導入実績20万社以上を誇るジョブカンシリーズの勤怠管理モジュールである。出勤管理・シフト管理・休暇申請・工数管理の4機能を必要に応じて組み合わせて利用できる柔軟な構成が特徴である。管理画面の操作性が直感的で、ITリテラシーが高くない従業員でも使いやすい。

料金: 月額200〜500円/人(利用機能数による)、初期費用無料、無料プランあり(機能制限あり)

向いている企業: コストを抑えたいスタートアップ・中小企業、段階的に機能を追加したい企業


3. freee勤怠管理Plus

特徴: freee人事労務との完全連携を前提に設計されたサービスである。勤怠データがリアルタイムでfreee人事労務に反映されるため、給与計算までの工数を大幅に削減できる。位置情報付きのスマホ打刻やアラート機能も標準搭載されている。

料金: 月額300円/人(税抜)、freee人事労務の契約が前提

向いている企業: freeeシリーズで統一運用している企業、バックオフィス全体の効率化を目指す企業


4. マネーフォワード クラウド勤怠

特徴: マネーフォワードクラウドシリーズの一つとして、給与計算・経費精算・社会保険手続きなどとシームレスに連携する。異動や入退社の情報がシリーズ間で自動同期されるため、管理工数が大幅に削減される。カスタム勤務パターンの設定も豊富に用意されている。

料金: 月額2,980円〜(5名分含む、以降300円/人)、法人向けプランは要問い合わせ

向いている企業: マネーフォワードシリーズを利用中の企業、バックオフィスを一元管理したい企業


5. AKASHI(アカシ)

特徴: ソニービズネットワークスが提供するクラウド勤怠管理サービスである。テレワーク勤務の管理に強みを持ち、在宅勤務の申請・承認からPC操作ログとの突合まで対応する。工数管理機能を備えているため、プロジェクト別の労働時間集計にも活用できる。

料金: 月額200円/人〜(プランにより異なる)、初期費用無料

向いている企業: テレワーク・ハイブリッドワークを推進している企業、プロジェクト型業務が多い企業


6. Touch On Time(タッチオンタイム)

特徴: 導入企業53,000社以上の実績を持つクラウド勤怠管理システムである。独自のタイムレコーダー「タッチオンタイムレコーダー」を提供しており、指紋認証・ICカード・パスワードの3種類の打刻方法に1台で対応する。小売・サービス業のシフト管理に特に強みを発揮する。

料金: 月額300円/人(税抜)、初期費用無料

向いている企業: 店舗型ビジネスを展開する企業、不正打刻の防止を重視する企業


7. kincone(キンコン)

特徴: ICカードをかざすだけで勤怠打刻と交通費精算を同時に行える革新的なサービスである。通勤経路の自動計算や定期区間の控除にも対応しており、勤怠管理と交通費精算の業務を一元化できる。Slack・ChatWorkとの連携にも対応している。

料金: 月額200円/人(税抜)、初期費用無料

向いている企業: 外回りの多い営業組織、交通費精算の手間を削減したい企業


8. レコル

特徴: 月額100円/人という業界最安水準の料金が最大の特徴である。低価格ながら、申請・承認ワークフロー、有給休暇管理、アラート通知など基本機能は一通り揃っている。APIによる外部連携にも対応しており、拡張性も確保されている。

料金: 月額100円/人(税抜)、初期費用無料

向いている企業: とにかくコストを抑えたい小規模企業、まずは最低限の勤怠管理をデジタル化したい企業


9. ハーモス勤怠(HRMOS勤怠)

特徴: ビズリーチを運営するVisionalグループが提供するサービスで、HRMOS採用・HRMOSタレントマネジメントとの連携が強みである。30名以下であれば無料で利用でき、基本的な勤怠管理機能はすべて利用可能である。人事データの一元管理を見据えた導入に適している。

料金: 30名以下無料、31名以上は月額100円/人〜

向いている企業: 30名以下の小規模企業、HRMOSシリーズの導入を検討している企業


10. TimePro-VG

特徴: アマノビジネスソリューションズが提供する、大規模運用に対応したクラウド勤怠管理システムである。複雑な勤務体系や就業規則にもきめ細かく対応でき、製造業の三交替勤務や医療機関の変則シフトなど、特殊な勤務形態にも強みを持つ。オンプレミス版も選択可能である。

料金: 月額300円/人〜(要問い合わせ)、初期費用は別途見積もり

向いている企業: 1,000名以上の大企業、複雑な就業規則を持つ製造業・医療機関


比較一覧テーブル {#比較一覧}

製品名月額費用(1人あたり)初期費用無料プランスマホ打刻シフト管理給与連携
KING OF TIME300円無料なし
ジョブカン200〜500円無料あり
freee勤怠管理Plus300円無料なし○(freee)
マネーフォワード勤怠300円〜無料なし○(MF)
AKASHI200円〜無料なし
Touch On Time300円無料なし
kincone200円無料なし
レコル100円無料なし
ハーモス勤怠無料〜100円無料あり(30名以下)
TimePro-VG300円〜要見積なし

よくある質問(FAQ) {#faq}

Q1. 勤怠管理システムの導入にかかる期間はどのくらいか?

クラウド型の勤怠管理システムであれば、最短で1〜2週間、一般的には1〜2か月程度で運用を開始できる。ただし、複雑な勤務体系の設定や既存システムからのデータ移行が必要な場合は、3か月以上かかるケースもある。導入スケジュールは事前にベンダーと綿密に打ち合わせることを推奨する。

Q2. Excel管理からの移行で注意すべき点は何か?

過去の勤怠データの移行方針を明確にすることが最重要である。全データを新システムに移行するのか、一定期間分のみ移行するのかを決定したうえで、CSVフォーマットの整合性を確認する必要がある。また、従業員への操作説明会を実施し、移行初月は旧システムと並行運用することでトラブルを最小限に抑えられる。

Q3. 無料プランでも実用に耐えうるか?

ジョブカンやハーモス勤怠の無料プランは基本的な打刻・集計機能を備えており、小規模企業であれば十分に実用可能である。ただし、アラート機能、ワークフロー機能、API連携などは有料プランでのみ利用できるケースが多い。将来的な拡張性を考慮し、有料プランへの移行パスも確認しておくことを推奨する。

Q4. 不正打刻を防止するにはどうすればよいか?

GPS打刻による位置情報の記録、生体認証(指紋・顔認証)による本人確認、PCログオン・ログオフ時間との突合など、複数の手段を組み合わせることが効果的である。Touch On Timeの指紋認証やKING OF TIMEの顔認証オプションなど、不正打刻防止に特化した機能を持つ製品を選択するのも一つの方法である。

Q5. 36協定の上限管理は自動で行えるか?

本記事で紹介した10製品はいずれも、36協定で定めた時間外労働の上限に対するアラート機能を備えている。月の途中で上限に近づいた従業員に対して自動で警告を発する機能や、管理者にメール通知する機能が標準的に搭載されている。法定上限(月45時間・年360時間)だけでなく、特別条項で定めた独自の上限値も設定可能である。

GXO実務追記: システム開発・DX投資で発注前に確認すべきこと

この記事のテーマは、単なるトレンド紹介ではなく、要件定義、費用、開発体制、ベンダー選定、保守運用を決めるための検討材料です。検索で情報収集している段階でも、発注前に次の観点を整理しておくと、見積もりのブレ、手戻り、ベンダー依存を減らせます。

まず決めるべき3つの論点

論点確認する内容未整理のまま進めた場合のリスク
目的売上拡大、工数削減、リスク低減、顧客体験改善のどれを優先するか成果指標が曖昧になり、PoCや開発が終わっても投資判断できない
範囲対象部署、対象業務、対象データ、対象システムをどこまで含めるか見積もりが膨らむ、または重要な連携が後から漏れる
体制自社責任者、現場担当、ベンダー、保守運用者をどう置くか要件確認が遅れ、納期遅延や品質低下につながる

費用・期間・体制の目安

フェーズ期間目安主な成果物GXOが見るポイント
事前診断1〜2週間課題整理、現行確認、投資判断メモ目的と範囲が商談前に整理されているか
要件定義 / 設計3〜6週間要件一覧、RFP、概算見積、ロードマップ見積比較できる粒度になっているか
PoC / MVP1〜3ヶ月検証環境、効果測定、リスク評価本番化判断に必要な数値が取れるか
本番導入3〜6ヶ月本番環境、運用設計、教育、改善計画導入後の運用責任と改善サイクルがあるか

発注前チェックリスト

  • [ ] 発注前に目的、対象業務、利用者、現行課題を1枚に整理したか
  • [ ] 必須要件、将来要件、今回はやらない要件を分けたか
  • [ ] 見積比較で、開発費だけでなく保守費、運用費、追加改修費を見たか
  • [ ] ベンダー選定で、体制、実績、品質管理、セキュリティ、引継ぎ条件を確認したか
  • [ ] 検収条件を機能、性能、セキュリティ、ドキュメントで定義したか
  • [ ] リリース後3ヶ月の改善運用と責任分界を決めたか

参考にすべき一次情報・公的情報

上記の一次情報は、社内稟議やベンダー比較の根拠として使えます。一方で、公開情報だけでは自社の現行システム、業務フロー、データ状態、予算制約までは判断できません。記事で一般論を把握した後は、自社条件に落とした診断が必要です。

GXOに相談するタイミング

次のいずれかに当てはまる場合は、記事を読み進めるだけでなく、早めに相談した方が安全です。

  • 見積もり依頼前に、要件やRFPの粒度を整えたい
  • 既存ベンダーの提案が妥当か第三者視点で確認したい
  • 補助金、AI、セキュリティ、レガシー刷新が絡み、判断軸が複雑になっている
  • 社内稟議で費用対効果、リスク、ロードマップを説明する必要がある
  • PoCや診断で終わらせず、本番導入と運用改善まで進めたい

勤怠管理システムおすすめ10選|中小企業向けの費用・機能・連携で比較【2026年版】を自社条件で診断したい方へ

GXOが、現状整理、RFP/要件定義、費用対効果、ベンダー比較、導入ロードマップまで実務目線で確認します。記事の一般論を、自社の投資判断に使える形へ落とし込みます。

システム開発費用・要件診断を相談する

※ 初回相談では営業資料の説明よりも、現状・課題・判断材料の整理を優先します。