作業実績管理📖 7分で読了

物流倉庫の作業実績管理|記録方法4種を比較【選び方チャート付き】紙・Excel・ハンディターミナル連携・アプリ、現場に合うのはどれ?

物流倉庫の作業実績管理|記録方法4種を比較【選び方チャート付き】

物流倉庫の作業実績管理、どう記録する?紙・Excel・ハンディターミナル連携・アプリの4方式を比較し、現場規模・予算・ITリテラシー別の選び方を解説。診断チャートで最適な方法がわかります。

「作業実績を取りたいけど、どの方法がうちの現場に合っているのかわからない」

物流倉庫の現場責任者や管理者から、こんな相談をよくいただきます。紙に書いてもらうか、Excelに入力してもらうか、それともシステムを導入するか。それぞれに良い点・悪い点があり、「これが正解」という万能な方法はありません。

結論から言えば、作業実績の記録方法は「現場の規模」「予算」「ITリテラシー」の3軸で選ぶのが正解です。

  • 小規模・低予算・IT不慣れ → 紙の記録表から始める

  • 中規模・低予算・Excel使える人がいる → Excel入力で集計を自動化

  • リアルタイム把握・投資可能 → アプリまたはハンディターミナル連携

この記事では、作業実績の記録方法を4種類に分け、それぞれのメリット・デメリット・向いている現場を詳しく解説します。記事の後半には「診断チャート」も用意していますので、自社に最適な方法を見つける参考にしてください。


記録方法①:紙の記録表

作業者に紙の記録表を配布し、作業開始時刻、終了時刻、処理量を手書きで記入してもらう方法です。最もシンプルで、多くの現場で昔から使われています。

紙の最大のメリットは、導入コストの低さと誰でも使える手軽さです。紙とペンがあれば始められ、ITに不慣れなスタッフでも抵抗なく記録できます。システムトラブルの心配もありません。

一方で、集計に手間がかかるのが大きなデメリットです。紙に書かれた数字を誰かがExcelや集計ソフトに入力し直す必要があり、この転記作業が管理者の負担になります。1日の記録を集計するのに1〜2時間かかっている現場も珍しくありません。また、「忙しくて書き忘れた」「後からまとめて書いたら時間を間違えた」といった記入漏れ・記入ミスも頻発します。

紙が向いているのは、まずは試しに実績を取ってみたい現場、スタッフの多くがITに慣れていない現場、10名以下の小規模な現場です。

紙で運用する場合のコツは、記入項目を最小限に絞ることです。「開始時刻」「終了時刻」「処理件数」の3項目程度から始め、記入タイミングを明確にルール化する(例:作業終了直後に必ず記入)ことで、記入漏れを減らせます。


記録方法②:Excel入力

共有のExcelファイルをサーバーやクラウド(Google スプレッドシートなど)に用意し、作業者がPCやタブレットから直接入力する方法です。紙からの移行先として、多くの現場で採用されています。

Excelのメリットは、導入コストの低さと集計の自動化です。すでにPCやタブレットがある現場なら追加投資なしで始められ、SUM関数やピボットテーブルを使えば日次・週次・月次の集計を自動化できます。データがそのままファイルに残るため、過去の実績を振り返りやすくなるのも利点です。

デメリットは、入力の手間とリアルタイム性の低さです。作業の手を止めてPCに向かい、ファイルを開いて入力するという一連の動作が現場スタッフの負担になります。「入力が面倒だから後回し」となり、結局まとめて入力するケースが多発します。また、複数人が同時に編集するとファイルが壊れるリスクもあります。

Excelが向いているのは、PCやタブレットが作業場所の近くにある現場、Excelに慣れている管理者がいる現場、30名程度までの中規模現場です。

運用のコツは、入力項目をプルダウン選択式にすることです。入力の手間とミスを減らせます。Google スプレッドシートを使う場合は、フォーム機能を活用するとスマホからの入力も簡単になります。


記録方法③:ハンディターミナル連携

ピッキングや検品で使用するハンディターミナルと、倉庫管理システム(WMS)を連携させる方法です。作業者がハンディターミナルでバーコードをスキャンすると、その作業の開始・終了時刻や処理量が自動的に記録されます。

最大のメリットは、作業と同時に記録できることです。スキャン作業自体が記録行為になるため、「記録のための作業」が発生しません。スキャンしないと作業が進まない仕組みにすれば、記録漏れはほぼゼロになります。スキャンした瞬間にデータがシステムに反映されるため、リアルタイムで進捗を把握でき、「1件あたり何秒かかったか」といった精度の高い分析も可能です。

デメリットは、初期コストの高さです。まだハンディターミナルを使っていない現場では機器の購入が必要で、1台あたり数万円〜十数万円かかります。さらにシステム連携の開発費用も発生し、合計で数百万円規模の投資になることも珍しくありません。また、梱包作業や荷揃え作業など、ハンディターミナルを使わない作業は別の方法で記録する必要があります。

ハンディターミナル連携が向いているのは、すでにハンディターミナルを導入している現場、ピッキング作業の実績を詳細に分析したい現場、数百万円規模の投資ができる現場です。

すでにハンディターミナルを使っている場合は、現在のWMSベンダーに「作業実績データの出力」について相談してみましょう。追加開発なしで、ある程度のデータが取れる場合もあります。


記録方法④:タブレット・スマホアプリ

作業実績管理用の専用アプリを使用し、作業者がタブレットやスマホから作業の開始・終了・処理量を入力する方法です。近年、クラウドサービスの普及により導入のハードルが下がっています。

アプリのメリットは、入力の簡単さとリアルタイム性です。専用アプリは「作業実績の入力」に特化して設計されているため、ボタンをタップするだけで記録できます。入力したデータは即座にクラウドに反映され、管理者は自分のPCやスマホからリアルタイムで進捗を確認できます。多くのアプリにはダッシュボードやレポート機能が標準で付いており、日次・週次・月次の集計やスタッフごとの生産性比較が設定なしで確認できます。

また、ハンディターミナルを使わない作業(梱包、荷揃え、清掃など)も記録できるため、倉庫内のすべての作業を一元管理したい場合に適しています。月額数万円〜で利用できるものも多く、ハンディターミナル連携に比べると初期投資を大幅に抑えられます。

デメリットは、導入時の設定作業とスタッフの慣れが必要なことです。アプリの選定、アカウント設定、作業項目の登録など、ITに詳しい担当者がいないと初期設定に苦労することがあります。また、新しいツールの導入には慣れの期間が必要で、最初の1〜2週間は入力忘れや操作ミスが発生することを想定しておきましょう。

アプリが向いているのは、リアルタイムで進捗を把握したい現場、すべての作業の実績を一元管理したい現場、月額数万円程度の投資ができる現場、紙やExcelの限界を感じている現場です。

無料トライアルがあるサービスなら、実際に現場で使ってみてから判断できます。最初は一部のラインや一部のスタッフで試験運用し、問題点を洗い出してから全体展開するのがおすすめです。

→ 関連記事:[作業実績データ活用方法|人時生産性を改善につなげる4ステップ](https://gxo.co.jp/column/work-data-utilization)

記録方法の比較表

項目

Excel

ハンディターミナル連携

アプリ

導入コスト

◎ ほぼゼロ

◎ ほぼゼロ

△ 高い(数百万円〜)

○ 中程度(月額数万円〜)

運用の手間

△ 集計作業が大変

○ 関数で自動化可能

◎ ほぼ自動

◎ ほぼ自動

リアルタイム性

× なし

△ 入力タイミング次第

◎ スキャン即時反映

◎ 入力即時反映

記録の正確性

△ 記入ミス多い

○ 入力ミスあり

◎ スキャンで自動記録

○ 入力ミスあり

分析のしやすさ

× データ化が必要

○ Excelで可能

◎ システムで自動分析

◎ ダッシュボード標準装備

全作業カバー

◎ 何でも記録可能

◎ 何でも記録可能

△ スキャン作業のみ

◎ 何でも記録可能


あなたの現場に合う記録方法診断

以下のフローチャートで、あなたの現場に合った記録方法を診断してみましょう。

Q1. すでにハンディターミナルを導入していますか?

はい → ハンディターミナルの実績データ出力を検討。WMSベンダーに相談を。

いいえ → Q2へ

Q2. 月額数万円程度の投資は可能ですか?

はい → Q3へ

いいえ → Q4へ

Q3. リアルタイムで進捗を把握したいですか?

はいアプリがおすすめ。タップ入力で記録、即時にデータ反映。

いいえ → Excelでも十分対応可能。まずはExcelで始めてみましょう。

Q4. Excelに慣れている管理者はいますか?

はいExcel入力がおすすめ。関数で集計を自動化できます。

いいえ紙の記録表から始めましょう。まずは記録する習慣をつけることが大切です。


よくある失敗と改善事例

記録方法を導入しても「定着しない」「効果が出ない」という声をよく聞きます。ここでは、よくある失敗パターンと、それを乗り越えた現場の改善事例を紹介します。

失敗パターン①:記入項目が多すぎて定着しない

ある食品物流センターでは、紙の記録表に15項目もの記入欄を設けていました。「せっかく記録するなら、いろいろ取りたい」という管理者の思いからでしたが、スタッフからは「面倒くさい」「時間がかかる」という不満が続出。記入率は50%程度にとどまり、データとしての信頼性も低い状態でした。

そこで、記入項目を「開始時刻」「終了時刻」「処理件数」の3項目に絞り込んだところ、記入率は50%から95%に改善。まずは最低限のデータを確実に取り、運用が定着してから項目を追加する方針に切り替えました。

失敗パターン②:Excel管理で集計が追いつかない

ある通販物流センターでは、Excelで作業実績を管理していましたが、スタッフ50名分の入力データを毎日集計するのに管理者が2時間以上かかっていました。繁忙期には集計が後回しになり、「先週の実績がまだ出ていない」という状態が常態化。実績データを改善に活かせないまま、形骸化していました。

アプリ導入後は、集計時間が2時間から10分に短縮。自動集計されたダッシュボードを毎朝確認し、前日の生産性をリアルタイムで把握できるようになりました。

失敗パターン③:「監視されている」と思われて抵抗感が生まれる

ある3PL倉庫では、作業実績の記録を始めた途端、スタッフから「サボりをチェックされている」「監視カメラみたいで嫌だ」という声が上がりました。記録の目的を説明しないまま導入したことで、不信感を招いてしまったのです。

管理者が「記録は監視ではなく、改善と公平な評価のため」と丁寧に説明し、記録データをもとに「頑張っている人を正当に評価する」仕組みを導入。記録率は65%から98%に向上し、スタッフからも「自分の頑張りが見える化されて嬉しい」という声が聞かれるようになりました。

→ 関連記事:[倉庫の作業実績管理とは?記録方法と活用のポイント]


記録を定着させる3つのコツ

どの方法を選んでも、「定着しない」という悩みは共通して発生します。以下の3つのコツを押さえておきましょう。

コツ①:記録項目をできるだけシンプルにする

「あれもこれも取りたい」と項目を増やしすぎると、記録が負担になり定着しません。最初は「作業開始時刻」「作業終了時刻」「処理量」の3項目から始めましょう。この3つがあれば、人時生産性(1時間あたりの処理量)は計算できます。他の項目は、運用が定着してから追加しても遅くありません。

コツ②:記録の目的をスタッフに伝える

「なぜ記録するのか」を説明しないまま始めると、スタッフに「監視されている」と思われてしまいます。記録は監視ではなく改善のため、頑張っている人を正当に評価するため、みんなの働きやすさにつなげるため、という目的を最初にしっかり伝えましょう。最初の説明で納得感を得られるかどうかで、その後の定着率が大きく変わります。

コツ③:記録しやすい環境を整える

「記録してください」と言うだけでは定着しません。入力端末を作業場所のすぐ近くに設置する、作業終了直後に入力する時間を設ける、入力忘れを防ぐリマインダーを設定する。こうした環境整備によって「記録するのが当たり前」という空気を作ることで、自然と定着していきます。


まとめ:段階的に進めるのも賢い選択

記録方法に「正解」はありません。自社の現場に合った方法を選ぶことが大切です。

迷ったら、まずは紙やExcelで試してみましょう。実績を取る習慣が定着し、その効果を実感できたら、システム化を検討する。段階的に進めるのも賢い選択です。

大切なのは、「記録すること」自体を目的にしないこと。記録したデータを改善に活かし、スタッフの働きやすさや生産性向上につなげることがゴールです。まずは小さく始めて、自社に合った方法を見つけていきましょう。


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