生産性改善📖 7分で読了

倉庫作業の7つのムダとは?見つけ方と削減の具体策トヨタ生産方式に学ぶ物流現場のムダ取り改善ガイド

倉庫作業の7つのムダとは?見つけ方と削減の具体策

倉庫作業の効率が上がらない原因は「7つのムダ」にあります。運搬・在庫・動作・待ち・作りすぎ・手直し・加工のムダを見つける方法と、物流現場での具体的な削減策を解説します。

「なんとなく非効率だと感じているけど、どこを改善すればいいか分からない」——そんな悩みを抱える物流現場は少なくありません。

結論から言えば、倉庫作業の非効率は「7つのムダ」で整理できます。

  • 7つのムダ:運搬・在庫・動作・待ち・作りすぎ・手直し・加工

  • 見つけ方:現場観察→作業者ヒアリング→データ分析の3ステップ

  • 削減の順番:頻度×影響度で優先順位をつけ、動作・運搬のムダから着手

この記事では、トヨタ生産方式で知られる「7つのムダ」を物流倉庫の文脈で解説し、それぞれの見つけ方と具体的な削減策を紹介します。

倉庫作業における7つのムダ

「7つのムダ」は、トヨタ生産方式で提唱された改善の基本概念です。製造業で生まれた考え方ですが、物流倉庫の現場にもそのまま当てはまります。それぞれのムダを、物流現場の具体例とともに見ていきましょう。

①運搬のムダ

運搬のムダとは、必要以上にモノを動かしている状態を指します。運搬そのものは付加価値を生まないため、できる限り減らすべき作業です。

物流倉庫でよく見られる運搬のムダには、出荷頻度の高い商品が倉庫の奥に配置されているケース、ピッキングエリアと梱包エリアが離れているケース、仮置き場を経由して何度も商品を移動させているケースなどがあります。

削減策としては、出荷頻度に応じたロケーション配置の見直し、作業エリアのレイアウト変更、仮置きの廃止または削減が有効です。

②在庫のムダ

在庫のムダとは、必要以上の在庫を抱えている状態です。過剰在庫はスペースを圧迫するだけでなく、管理コストの増加、商品の劣化リスク、棚卸作業の負担増加にもつながります。

物流倉庫では、「欠品が怖い」という心理から安全在庫を過剰に積み増すケースや、販売終了した商品がそのまま残っているケース、返品商品の処理が滞っているケースなどが典型的です。

削減策としては、適正在庫基準の見直し、滞留在庫の定期的な棚卸と処分ルールの策定、返品処理フローの整備が挙げられます。

③動作のムダ

動作のムダとは、作業に直接関係のない動きや、非効率な動作を指します。歩く、探す、持ち替える、かがむといった動作は、積み重なると大きな時間ロスになります。

物流倉庫でよくある動作のムダは、商品やラベルを探す時間、工具や資材が定位置にないために探し回る時間、棚の高い位置や低い位置への繰り返しアクセスなどです。

削減策としては、5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)の徹底、作業に必要な道具の定位置管理、出荷頻度の高い商品を取りやすい高さ(ゴールデンゾーン)に配置することが効果的です。

④待ちのムダ

待ちのムダとは、次の作業を待っている時間、つまり手待ち状態を指します。作業者が手を止めている時間は、そのまま生産性の低下につながります。

物流倉庫では、入荷待ちでトラックバースが空いているのに作業者が待機しているケース、検品完了待ちで梱包作業者が手待ちになっているケース、フォークリフトの順番待ちが発生しているケースなどが該当します。

削減策としては、入荷予定の事前共有と人員配置の調整、工程間の作業バランスの見直し、フォークリフトの台数や動線の最適化が有効です。

⑤作りすぎのムダ

作りすぎのムダとは、必要以上に前作業や準備作業を行っている状態です。製造業では「作りすぎ」ですが、物流倉庫では「準備しすぎ」「前倒し作業」として現れます。

具体的には、出荷指示が確定する前にピッキングを始めて、後からキャンセルや変更で手戻りが発生するケース、必要以上にラベルを事前印刷して使い切れないケース、翌日分の梱包資材を大量に準備しすぎるケースなどがあります。

削減策としては、出荷指示確定後に作業を開始するルールの徹底、必要数に応じたジャストインタイムの準備、作業の平準化が挙げられます。

⑥手直しのムダ

手直しのムダとは、ミスや不良による手戻り、やり直し作業を指します。一度完了した作業をもう一度やり直すことは、時間と労力の二重ロスです。

物流倉庫では、ピッキングミスによる再ピッキング、誤出荷による返品対応、ラベル貼り間違いによる貼り直し、検品漏れによる再検品などが典型的な手直しのムダです。

削減策としては、ハンディターミナルによるバーコード検品の導入、ダブルチェック体制の見直し、ミスが起きやすい商品の識別表示強化、作業手順書の整備が効果的です。

⑦加工のムダ

加工のムダとは、必要以上の作業や過剰な品質をかけている状態です。顧客が求めていないレベルの作業は、ムダな工数を消費しています。

物流倉庫では、過剰な緩衝材の使用、必要以上に丁寧な梱包、求められていない検品項目の追加、形式的なチェックシートの記入などが該当します。

削減策としては、顧客要求品質の明確化、梱包基準の見直し、検品項目の精査、本当に必要な帳票かどうかの確認が有効です。

ムダを見つける3つのステップ

7つのムダを理解しても、実際に現場でムダを見つけるのは簡単ではありません。以下の3つのステップで、体系的にムダを発見しましょう。

ステップ1:現場観察

まずは実際に現場を歩き、作業を観察します。このとき重要なのは、「当たり前」と思っていることを疑う姿勢です。

観察のポイントは、作業者の動線はスムーズか、待ち時間は発生していないか、探す動作はないか、同じ作業を繰り返していないかなどです。できれば異なる時間帯、異なる曜日に複数回観察すると、より多くのムダが見えてきます。

ステップ2:作業者へのヒアリング

現場観察だけでは見えないムダもあります。実際に作業しているスタッフに「やりにくいと感じていること」「無駄だと思う作業」を聞いてみましょう。

ヒアリングのコツは、「なぜその作業が必要なのか」を深掘りすることです。「昔からやっているから」「そういうルールだから」という答えが返ってきたら、そこにムダが潜んでいる可能性があります。

ステップ3:データ分析

感覚だけでなく、データでムダを可視化することも重要です。工程ごとの作業時間、ミス発生率、滞留時間などを計測し、どこにボトルネックがあるかを数値で把握します。

特に「時間がかかっている工程」「ミスが多い工程」「人員が滞留している時間帯」は、ムダが集中しているポイントです。

ムダ削減の優先順位の決め方

7つのムダをすべて同時に改善することは現実的ではありません。効果の大きいものから優先的に取り組むことが重要です。

優先順位を決める際は、「頻度」と「影響度」の2軸で評価します。毎日発生するムダと月に1回のムダでは、前者を優先すべきです。また、作業時間に大きく影響するムダと、わずかな影響しかないムダでは、前者を優先します。

一般的に、物流倉庫で効果が出やすいのは「動作のムダ」と「運搬のムダ」の削減です。レイアウト変更やロケーション見直しは、比較的低コストで実施でき、効果も実感しやすいためです。

改善事例:ムダ削減で作業効率25%向上

ある物流センターでは、7つのムダの観点で現場を見直した結果、以下の改善を実現しました。

まず、出荷頻度の高い商品をピッキングエリアの手前に移動させ、運搬のムダを削減。次に、工具や資材の定位置管理を徹底し、動作のムダを削減しました。さらに、入荷予定の事前共有により、待ちのムダも大幅に減少。

これらの取り組みにより、1人あたりの作業効率は25%向上し、残業時間は月平均15時間から8時間に削減されました。

現場で使える7つのムダチェックリスト

自社の現場にどのムダが潜んでいるか、以下のチェックリストで確認してみてください。

運搬のムダ □ 出荷頻度の高い商品が倉庫の奥にある □ 同じ商品を複数回移動させている □ ピッキングと梱包の距離が遠い

在庫のムダ □ 3ヶ月以上動いていない在庫がある □ 返品商品が放置されている □ 安全在庫の基準が曖昧

動作のムダ □ 商品やラベルを探す時間がある □ 工具や資材の置き場所が決まっていない □ 高い棚や低い棚へのアクセスが頻繁

待ちのムダ □ 入荷待ちで作業者が手待ちになる □ フォークリフトの順番待ちがある □ 前工程の完了待ちが発生する

作りすぎのムダ □ 出荷確定前にピッキングを始めている □ ラベルを必要以上に事前印刷している □ 翌日分の準備をしすぎている

手直しのムダ □ ピッキングミスが週に複数回ある □ ラベル貼り間違いが発生している □ 検品漏れによる再検品がある

加工のムダ □ 過剰な緩衝材を使っている □ 顧客が求めていない検品をしている □ 形式的な帳票を記入している

3つ以上チェックがついた項目は、優先的に改善を検討しましょう。

まとめ

倉庫作業の効率化は、「7つのムダ」の観点で現場を見直すことから始まります。運搬・在庫・動作・待ち・作りすぎ・手直し・加工——それぞれのムダを見つけ、一つずつ改善していくことで、現場は着実に変わっていきます。

まずは現場を歩き、作業者の声を聞き、データを見る。この3つのステップで、自社のムダを可視化してみてください。


関連記事


ムダ削減にお悩みの方へ

ムダ削減を成功させるには、「誰が・いつ・どこで・何をしているか」を把握することが出発点です。人員配置が見える化されていなければ、どの工程にムダが集中しているかも分かりません。

ムダ削減の流れは、人員の可視化 → ムダの発見 → 改善の実行 → 効果測定 → 次の改善へ、というサイクルで回していきます。この土台となる人員管理がExcelや紙のままでは、改善のPDCAは回りません。

現クラでは、180社以上の支援実績をもとに、人員管理のデジタル化を通じた現場改善の基盤づくりを支援しています。

15分で現場の悩みを相談する(無料)

この記事についてもっと詳しく知りたい方へ

GXOでは、生産性改善に関する詳しい資料を無料で提供しています。導入事例や成功事例、具体的な導入手順を詳しく解説しています。