物流倉庫の人員管理システム選定で失敗しないためには、「自社課題の明確化」「必要機能の絞り込み」「現場での使いやすさ」「サポート体制」「トータルコスト」の5つのポイントを押さえることが重要です。本記事では、180社以上の物流現場を支援してきた知見をもとに、システム選定の具体的な手順と判断基準を解説します。
システム選定でよくある失敗パターン
人員管理システムの導入に失敗する企業には、共通するパターンがあります。まずは「やってはいけない選び方」を知っておきましょう。
失敗①:機能の多さで選んでしまう
「機能が多い方がお得」と考えて高機能なシステムを導入した結果、複雑すぎて現場が使いこなせないケースは少なくありません。使われない機能にコストを払い続けることになり、結局Excelに戻ってしまう企業もあります。
失敗②:現場の声を聞かずに決める
管理部門や経営層だけで選定を進めた結果、実際に使う現場スタッフから「使いにくい」「業務フローに合わない」という声が上がり、定着しないパターンです。特に物流倉庫では、パートやアルバイトなど多様なスタッフが使うため、操作の簡単さは重要な要素です。
失敗③:導入後のサポートを軽視する
初期費用の安さだけで選んだ結果、導入後に「問い合わせてもなかなか返答がない」「操作方法を教えてもらえない」という事態に陥ることがあります。システムは導入して終わりではなく、運用しながら改善していくものです。
失敗④:隠れたコストを見落とす
月額費用だけを比較して導入を決めたものの、オプション機能の追加費用、ユーザー数の増加による従量課金、カスタマイズ費用などが積み重なり、想定以上のコストになるケースがあります。
選定の5つのポイント

これらの失敗を避けるために、以下の5つのポイントを順番に確認していきましょう。
ポイント①:自社の課題を明確にする
システム選定の第一歩は、「何を解決したいのか」を明確にすることです。漠然と「人員管理を効率化したい」ではなく、具体的な課題を洗い出しましょう。
よくある課題の例
シフト作成に毎週何時間もかかっている
派遣会社ごとに異なるフォーマットで請求書が届き、照合作業が大変
誰がどのスキルを持っているか把握できていない
入退場の記録がアナログで、勤怠データの集計に時間がかかる
人件費の内訳がリアルタイムで把握できない
課題を書き出したら、優先順位をつけます。すべてを一度に解決しようとすると、システムが複雑になりがちです。まずは「最も負担が大きい業務」や「最もコスト削減効果が高い領域」から着手することをおすすめします。
ポイント②:必要十分な機能を見極める
課題が明確になったら、その解決に必要な機能を洗い出します。物流倉庫の人員管理で一般的に求められる機能は以下のとおりです。
基本機能
入退場管理:ICカードやQRコードによる出退勤記録
シフト管理:シフト表の作成、共有、変更管理
勤怠管理:労働時間の自動集計、残業アラート
拡張機能
派遣管理:派遣会社別の人数管理、請求照合
スキル管理:作業者ごとの資格、習熟度の記録
人件費管理:リアルタイムでの人件費可視化、予実管理
配置最適化:作業量に応じた適正人員の算出
すべての機能が必要なわけではありません。自社の課題と照らし合わせて、「必須」「あれば便利」「不要」に分類しましょう。高機能なシステムほど費用も高く、操作も複雑になる傾向があります。
ポイント③:現場での使いやすさを確認する
どれだけ優れた機能があっても、現場で使われなければ意味がありません。使いやすさを判断するポイントは以下のとおりです。
確認すべき項目
操作画面はシンプルか:ボタンの数が多すぎないか、直感的に操作できるか
スマートフォン対応:現場でスマートフォンから操作できるか
多言語対応:外国人スタッフが多い場合、対応言語を確認
導入研修の負担:新しいスタッフが来たとき、すぐに使い方を覚えられるか
確認方法
無料トライアルやデモ画面で実際に操作してみる
現場の代表者(リーダークラス)に触ってもらい、感想を聞く
導入事例で、同規模・同業種の企業が使いこなせているか確認する
特に物流倉庫では、パートやアルバイトの入れ替わりが多いため、「誰でもすぐに使える」シンプルさが重要です。
ポイント④:サポート体制を確認する
システム導入は、契約して終わりではありません。導入時の初期設定、運用開始後の問い合わせ対応、トラブル時の対応など、継続的なサポートが必要です。
確認すべき項目
導入支援の内容:初期設定は自社で行うのか、ベンダーがサポートしてくれるのか
問い合わせ方法:電話、メール、チャットなど対応チャネル
対応時間:土日や夜間の対応は可能か(物流倉庫は稼働時間が長いため重要)
マニュアルや動画:操作方法を自己解決できるコンテンツがあるか
アップデート頻度:法改正対応や機能改善がどの程度の頻度で行われるか
サポートの質は、実際に問い合わせてみないとわからない部分もあります。契約前に質問を投げかけて、対応のスピードや丁寧さを確認しておくとよいでしょう。
ポイント⑤:トータルコストを把握する
システムのコストは、月額費用だけでは判断できません。導入から運用までのトータルコストを把握しましょう。
コストの内訳
項目 | 内容 | 確認ポイント |
|---|---|---|
初期費用 | 導入時の設定費用、データ移行費用 | 無料〜数百万円まで幅がある |
月額費用 | 基本料金、ユーザー数による従量課金 | 人数が増えた場合の費用も試算 |
オプション費用 | 追加機能、カスタマイズ | 必要な機能が標準かオプションか確認 |
保守費用 | システム保守、アップデート | 月額に含まれるか別途か |
教育費用 | 操作研修、マニュアル作成 | ベンダー提供か自社対応か |
複数のシステムを比較する際は、同じ条件(ユーザー数、利用機能)で見積もりを取り、3年間や5年間のトータルコストで比較することをおすすめします。
システム選定チェックリスト

選定時に確認すべき項目をチェックリストにまとめました。候補となるシステムを比較する際にご活用ください。
課題・目的
解決したい課題が明文化されている
課題の優先順位がついている
導入後の目標(定量的な指標)が設定されている
機能
必須機能がすべて備わっている
不要な機能が多すぎない
将来的に必要になる機能の拡張が可能
使いやすさ
デモやトライアルで実際に操作を確認した
現場スタッフの意見を聞いた
スマートフォンからの操作性を確認した
サポート
導入支援の内容と費用を確認した
問い合わせ対応の時間帯を確認した
マニュアルやFAQの充実度を確認した
コスト
初期費用、月額費用、オプション費用を把握した
3年間のトータルコストを試算した
人数増加時の費用シミュレーションを行った
よくある質問
Q. 導入までにどのくらいの期間がかかりますか?
システムの複雑さや自社の準備状況によりますが、一般的にはクラウド型で1〜2ヶ月、オンプレミス型で3〜6ヶ月程度です。既存データの移行や、現場への説明・研修の時間も考慮しておきましょう。
Q. 既存のWMS(倉庫管理システム)と連携できますか?
多くの人員管理システムは、API連携やCSV連携に対応しています。ただし、連携の可否や方法はシステムによって異なるため、事前に確認が必要です。連携にカスタマイズが必要な場合は、追加費用が発生することもあります。
Q. 小規模な倉庫でも導入するメリットはありますか?
人数が少なくても、シフト管理や勤怠集計に時間がかかっている場合はメリットがあります。特にクラウド型のシステムは初期費用を抑えて導入できるため、小規模倉庫でも費用対効果が合いやすくなっています。
Q. 派遣スタッフが多い場合、何を重視すべきですか?
派遣会社別の人数管理、請求書との照合機能、契約期間の管理機能を重視しましょう。複数の派遣会社と取引がある場合、これらの機能があることで月末の事務作業が大幅に削減できます。
まとめ
物流倉庫の人員管理システム選定は、以下の5つのポイントを順番に確認することで、失敗を防ぐことができます。
自社の課題を明確にする:解決したい課題を具体的に洗い出し、優先順位をつける
必要十分な機能を見極める:課題解決に必要な機能を選び、過剰な機能は避ける
現場での使いやすさを確認する:デモやトライアルで実際に操作し、現場の声を聞く
サポート体制を確認する:導入支援から運用サポートまで、継続的な支援があるか確認
トータルコストを把握する:初期費用だけでなく、3〜5年間の総費用で比較する
システム選定は「自社の課題」から始まります。まずは現場の困りごとを整理するところから始めてみてください。
人員管理システムの選定でお悩みの方へ
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