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物流倉庫のトレーサビリティ|誰が何をしたか追跡する仕組み品質問題発生時に原因を特定する

物流倉庫のトレーサビリティ|誰が何をしたか追跡する仕組み

物流倉庫のトレーサビリティ確保の方法を解説。入退場記録、作業実績、検品記録で品質問題の原因を特定しましょう。

トレーサビリティとは、物流倉庫において「誰が」「いつ」「何を」したかを追跡できる状態のことです。品質問題が発生した際の原因特定や、荷主への説明責任を果たすために欠かせない仕組みです。

本記事では、トレーサビリティの基本から具体的な確保方法、よくある課題と解決策まで解説します。


トレーサビリティとは

トレーサビリティとは、「誰が」「いつ」「何を」したかを追跡できる状態を指します。

物流倉庫においては、入荷から出荷までの各工程で「どのスタッフが」「いつ」「どの商品に対して」「どのような作業を行ったか」を記録し、後から追跡できる状態を意味します。

物流現場でのトレーサビリティの具体例

たとえば、出荷した商品に破損があったとクレームが入った場合を考えてみましょう。

トレーサビリティが確保されていれば、以下のような追跡が可能です。

  • 入荷検品:誰が、いつ、どのような状態で受け入れたか

  • 保管:どのロケーションに、いつから保管されていたか

  • ピッキング:誰が、いつ、棚から取り出したか

  • 出荷検品:誰が、いつ、最終確認を行ったか

  • 梱包・発送:誰が、いつ、どのように梱包したか

この記録があれば、「入荷時点ですでに破損していたのか」「倉庫内の作業で破損したのか」を特定できます。


トレーサビリティが必要な理由

トレーサビリティの確保は、以下の4つの観点から重要です。

理由①:品質問題の原因特定

クレームや事故が発生した際、原因を特定できなければ対策の打ちようがありません。「いつ、どこで、誰が関わったか」が分かれば、問題の発生箇所を絞り込めます。

理由②:再発防止策の立案

原因が特定できれば、具体的な再発防止策を立てられます。「Aさんの作業手順に問題があった」「〇〇工程のチェック体制が不十分だった」など、根本原因に対処できます。

理由③:荷主への説明責任

荷主から問い合わせがあった際、「調査中です」「分かりません」では信頼を失います。トレーサビリティが確保されていれば、「〇月〇日〇時に入荷検品を実施し、その時点では問題ありませんでした」と具体的に説明できます。

理由④:コンプライアンス対応

食品や医薬品など、法令でトレーサビリティが求められる商材もあります。また、荷主との契約でトレーサビリティの確保が条件となっているケースも増えています。


トレーサビリティが不十分な場合のリスク

トレーサビリティが確保されていないと、以下のような問題が発生します。

リスク①:原因不明のまま再発を繰り返す

ある物流倉庫では、同じ商品で破損クレームが月に数件発生していました。しかし、作業記録が残っていないため「誰が」「どの工程で」破損させたのか分からず、「気をつけましょう」という曖昧な指示しか出せませんでした。結果、同じ問題が繰り返し発生し、荷主からの信頼を失いました。

リスク②:責任の所在が曖昧になる

派遣スタッフや複数の作業者が関わる現場では、「誰がやったか分からない」という状況が起きがちです。責任の所在が曖昧だと、スタッフの当事者意識も薄れ、品質低下につながります。

リスク③:荷主への報告ができない

「調査しましたが、原因は特定できませんでした」という報告は、荷主にとって最も不安な回答です。場合によっては取引停止につながるリスクもあります。


トレーサビリティの確保方法

トレーサビリティを確保するための具体的な方法を3つ紹介します。

方法①:入退場記録

誰がいつ現場にいたかを記録します。

具体的な手順

  1. ICカードや生体認証で入退場を記録する

  2. 入退場時刻とスタッフ名を自動でデータ化する

  3. 日報や作業実績と突合できるようにする

ポイント

入退場記録は、「その時間帯に誰が現場にいたか」を証明する基礎データになります。問題発生時に「当日現場にいたスタッフ」を絞り込む際に活用します。

派遣スタッフや日雇いスタッフが多い現場では、特に入退場管理が重要です。誰が来ているか把握できていないと、そもそも追跡のしようがありません。

方法②:作業実績記録

誰がどの作業をしたか記録します。

具体的な手順

  1. WMS(倉庫管理システム)やハンディターミナルで作業ログを取得する

  2. 作業者ID、作業内容、対象商品、時刻を紐づけて記録する

  3. ロケーション単位、SKU単位で検索できるようにする

ポイント

紙の作業日報では、「誰が何をしたか」の粒度が粗くなりがちです。WMS(倉庫管理システム)やハンディターミナルを活用すれば、「誰が」「いつ」「どの商品を」「どのロケーションで」作業したかを自動で記録できます。

ただし、システム導入が難しい場合は、作業者ごとに担当エリアや担当商品を固定し、紙の記録でも追跡できる体制を作る方法もあります。

方法③:入荷検品・出荷検品の記録

誰がいつ入荷検品・出荷検品を行ったか記録します。

具体的な手順

  1. 検品者名、検品日時、検品結果を記録する

  2. 異常があった場合は、写真や備考を残す

  3. 入荷検品と出荷検品の記録を紐づけられるようにする

ポイント

入荷検品と出荷検品は、倉庫の「入口」と「出口」にあたる重要な工程です。この2点の記録があれば、「倉庫に届いた時点で問題があったのか」「倉庫内で問題が発生したのか」を切り分けられます。

特に入荷検品では、外装の状態や数量の過不足を写真で記録しておくと、後から「届いた時点でこの状態だった」と証明できます。


紙運用とシステム運用の比較

トレーサビリティの確保方法には、紙ベースの運用とシステム活用の2つのアプローチがあります。

項目

紙運用

システム運用

導入コスト

低い

初期投資が必要

記録の粒度

粗い(日単位、エリア単位)

細かい(秒単位、SKU単位)

検索性

手作業で探す必要あり

即座に検索可能

改ざんリスク

後から書き換え可能

ログが残り改ざん困難

運用負荷

記入・集計の手間がかかる

自動化で負荷軽減

規模が小さい倉庫や、扱う商材のリスクが低い場合は紙運用でも対応可能です。一方、取扱量が多い倉庫や、品質要求が厳しい荷主と取引している場合は、システム導入を検討する価値があります。


よくある課題と解決策

課題①:派遣スタッフの入れ替わりが激しく、記録が追いつかない

解決策:入退場管理を徹底し、「誰が現場にいたか」だけでも確実に記録する。作業記録は担当エリア制を導入し、エリア単位で責任者を明確にする。

課題②:記録はしているが、活用できていない

解決策:記録の目的を「問題発生時の追跡」と明確にし、必要な項目に絞る。すべてを記録しようとすると運用が破綻する。

課題③:システム導入のコストが合わない

解決策:まずは入退場記録と検品記録から始める。この2つだけでも、トレーサビリティは大幅に向上する。


まとめ

トレーサビリティは、品質管理の基盤です。

確保のポイントは以下の3つです。

  1. 入退場記録:誰がいつ現場にいたかを記録する

  2. 作業実績記録:誰がどの作業をしたかを記録する

  3. 入荷検品・出荷検品の記録:倉庫の入口と出口を押さえる

まずは「入退場記録」と「検品記録」から始め、段階的にトレーサビリティの精度を高めていくことをおすすめします。


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