物流倉庫の拠点間情報共有を効率化する方法|脱・電話とExcel
複数の物流拠点を運営していると、「A拠点の今日の出勤状況を確認したい」「B拠点に応援を出せるか知りたい」といった場面が日常的に発生します。そのたびに電話をかけ、メールを送り、Excelファイルをやり取りしていませんか。拠点が増えるほど情報共有の負担は増大し、確認漏れや伝達ミスのリスクも高まります。
結論から言えば、拠点間の情報共有を効率化するには「情報の一元化」「リアルタイム更新」「アクセス権限の整備」の3つが必要です。
情報の一元化:各拠点がバラバラに持っている情報を、1つのシステムに集約する
リアルタイム更新:電話確認なしで、最新の状況がいつでも見える状態をつくる
アクセス権限の整備:本部・拠点長・現場担当それぞれが必要な情報に適切にアクセスできる設計にする
この記事では、物流倉庫の現場責任者や複数拠点を統括する管理者に向けて、拠点間の情報共有を効率化する具体的な方法を解説します。
なぜ拠点間の情報共有がうまくいかないのか

拠点間の情報共有がうまくいかない背景には、いくつかの構造的な問題があります。
まず、情報が「拠点ごとに閉じている」という問題です。各拠点がそれぞれ独自のExcelファイルでシフト表を作り、独自のフォーマットで日報を書いているケースは珍しくありません。この状態では、本部が全体を把握しようとしても、各拠点に電話やメールで確認するしかありません。ある物流センターでは、朝の出勤状況を確認するために本部から5拠点に順番に電話をかけており、それだけで毎朝30分以上の時間がかかっていました。
次に、「更新タイミングのズレ」という問題があります。日報や週報をまとめて報告する運用では、本部が見ている情報は常に「過去の情報」になります。急な欠勤が発生しても、その日の夕方や翌日にならないと本部に伝わらないため、応援の手配が後手に回ることになります。
さらに、「誰が何を見ていいのか不明確」という問題もあります。Excelファイルを共有フォルダに置いているだけでは、誰がどこまで見てよいのか、誰が編集してよいのかが曖昧になります。結果として、重要な情報が更新されなかったり、逆に勝手に書き換えられてしまったりするリスクが生まれます。
拠点間情報共有を効率化する4つのステップ

拠点間の情報共有を効率化するためには、以下の4つのステップで進めることをお勧めします。
ステップ1:共有すべき情報を洗い出す
最初に取り組むべきは、「何の情報を共有する必要があるのか」を明確にすることです。すべての情報を共有しようとすると運用が複雑になり、結局誰も見なくなります。本当に必要な情報に絞り込むことが重要です。
拠点間で共有すべき情報の代表例としては、当日の出勤人数と出勤者名、拠点ごとの人員過不足状況、応援可能なスタッフの有無、当日の物量予測と実績、資格保有者の配置状況などが挙げられます。まずはこれらの項目について、現状どのように情報を取得しているか、誰がいつ必要としているかを整理することから始めましょう。
ステップ2:情報の入力元を一本化する
情報を集約するためには、入力の仕方を統一する必要があります。拠点Aは紙の出勤簿、拠点BはExcel、拠点CはLINEグループという状態では、情報を集めるだけで膨大な手間がかかります。
入力方法を一本化する際のポイントは、現場の負担を増やさないことです。新しいシステムを導入しても、入力が面倒で誰も使わなければ意味がありません。たとえば、入退場管理をQRコードやICカードで行えば、スタッフが打刻するだけで出勤情報が自動的に記録されます。シフト情報も、派遣会社からの連絡をそのままシステムに取り込める仕組みがあれば、転記の手間がなくなります。
ある物流センターでは、入退場管理システムを導入したことで、毎朝の出勤確認電話が不要になりました。本部の担当者は、朝の時点で全拠点の出勤状況を画面で確認でき、欠勤があれば即座に応援の調整に入れるようになったのです。
ステップ3:リアルタイムで見える仕組みをつくる
情報の入力元を一本化したら、次はその情報をリアルタイムで見える仕組みをつくります。具体的には、ダッシュボードのような形で、全拠点の状況を一画面で確認できる環境を整えることです。
ダッシュボードに表示すべき項目としては、拠点ごとの当日出勤人数、予定人数との差異、応援可能人数、物量の進捗状況などが考えられます。重要なのは、「見たい情報にすぐたどり着ける」設計にすることです。何度もクリックしないと見たい情報に到達できないようでは、結局使われなくなります。
また、異常値を自動で通知するアラート機能も効果的です。たとえば、出勤人数が予定を大幅に下回った場合や、残業時間が一定を超えそうな場合に、自動でメールや通知が届く仕組みがあれば、問題の早期発見につながります。
ステップ4:アクセス権限を設計する
情報を一元化すると、「誰がどこまで見てよいのか」という問題が出てきます。すべての情報を全員に公開すると、不要な情報が多すぎて使いにくくなりますし、人件費などの機微な情報が意図せず共有されるリスクもあります。
アクセス権限は、役割に応じて設計することをお勧めします。本部の管理者は全拠点の情報を閲覧・編集できる、拠点長は自拠点の詳細情報と他拠点の概況を閲覧できる、現場リーダーは自拠点の当日情報のみ閲覧できる、といった形です。
権限設計で見落としがちなのは、「派遣会社との情報共有」です。派遣会社に対して、自社スタッフの勤務実績や翌週のシフト予定を共有できる仕組みがあると、派遣会社との連絡工数を大幅に削減できます。
情報共有の効率化で得られる効果
拠点間の情報共有を効率化することで、具体的にどのような効果が得られるのでしょうか。
まず、確認作業の時間削減です。ある物流企業では、全拠点の出勤状況を確認するための電話連絡が、1日あたり延べ2時間から10分に短縮されました。月間で約40時間の削減となり、その時間を本来の管理業務に充てられるようになりました。
次に、応援調整のスピード向上です。どの拠点に余裕があるかがリアルタイムで分かるため、欠勤が発生してから応援が決まるまでの時間が大幅に短縮されます。以前は応援の調整に半日かかっていたものが、30分以内で完了するようになったという事例もあります。
さらに、拠点間の比較分析が可能になります。情報が標準化されていれば、拠点ごとの生産性や人件費率を比較し、優秀な拠点のやり方を他拠点に展開することができます。この「横展開」ができるようになることで、組織全体の底上げにつながります。
情報共有がうまくいかない時のNG対応例
拠点間の情報共有を進める際に、避けるべきNG対応をいくつか紹介します。
1つ目は、「いきなり全情報を共有しようとする」ことです。最初から完璧なシステムを目指すと、導入までに時間がかかり、現場の協力も得にくくなります。まずは出勤情報など、最も優先度の高い情報から始めて、段階的に範囲を広げていくのが現実的です。
2つ目は、「現場の入力負担を考慮しない」ことです。本部が見たい情報を詰め込んだ結果、現場が毎日30分かけて入力しなければならないシステムになってしまっては本末転倒です。入力は最小限に、できれば既存の業務フローの中で自動的にデータが蓄積される仕組みを目指しましょう。
3つ目は、「ツールだけ導入して運用ルールを決めない」ことです。システムを導入しても、「いつ」「誰が」「何を」入力・確認するのかが決まっていなければ、データが入らない・誰も見ないという状態に陥ります。ツール導入と同時に、運用ルールを明文化し、定着させることが重要です。
4つ目は、「一部の拠点だけで試して全社展開しない」ことです。パイロット導入は有効ですが、そのまま放置すると「A拠点はシステム、B拠点はExcel」という二重管理状態が続いてしまいます。パイロットで効果を確認したら、速やかに全拠点への展開計画を立てましょう。
情報共有効率化のセルフチェックリスト
自社の拠点間情報共有の状況を確認するためのチェックリストを用意しました。当てはまる項目が多いほど、改善の余地があります。
各拠点の出勤状況を知るために、毎日電話やメールで確認している
拠点ごとにシフト表のフォーマットが異なり、集計に手間がかかる
応援を依頼する際、どの拠点に余裕があるか分からず、順番に聞いている
月末にならないと、各拠点の人件費実績が把握できない
派遣会社への連絡が拠点ごとにバラバラで、本部で把握できていない
拠点間の生産性比較ができていない、または比較に時間がかかる
急な欠勤が発生しても、本部に情報が上がってくるのが遅い
共有フォルダのExcelファイルを誰が更新したか分からないことがある
3つ以上当てはまる場合は、情報共有の仕組みを見直すことで、大幅な業務効率化が期待できます。
現クラで拠点間の情報共有を効率化する
現クラでは、180社以上の支援実績をもとに、拠点間の情報共有を効率化する仕組みづくりを支援しています。入退場管理によるリアルタイムの出勤把握、シフト・人員情報の一元管理、本部向けダッシュボードによる全拠点の可視化など、複数拠点を運営する物流企業に必要な機能を提供しています。
「電話とExcelでの情報共有に限界を感じている」「拠点が増えるほど管理が大変になっている」という課題をお持ちでしたら、まずは現状の棚卸しから始めてみてはいかがでしょうか。
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