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【物流倉庫】拠点間比較・ベンチマークの方法|KPI管理で生産性を向上データで拠点間の差を可視化

【物流倉庫】拠点間比較・ベンチマークの方法|KPI管理で生産性を向上

複数の物流拠点を運営する企業向けに、KPI比較で生産性を向上させる方法を解説。人時生産性・人件費率など5つの重要指標と4ステップの実践手順を、180社以上の支援実績をもとに紹介します。

拠点間比較・ベンチマークとは、複数の物流拠点のKPI(重要業績評価指標)を統一基準で比較し、各拠点の強みと改善点を明確化する手法です。この記事では、人時生産性や人件費率などの5つの重要指標と、4ステップの実践方法を具体的に解説します。

「うちの拠点、他と比べてどうなの?」

複数の物流拠点を運営する企業にとって、この疑問は常につきまといます。A拠点は順調に見えるが、B拠点は人件費がかさんでいる。C拠点は離職率が高い。こうした拠点ごとのバラツキを放置すると、全体の収益性が低下してしまいます。

拠点間比較を適切に行えば、優れた拠点の取り組みを他拠点に展開でき、全体の生産性を底上げできます。本記事では、180社以上の物流現場を支援してきたGXOの知見をもとに、実践的なベンチマーク手法をお伝えします。


拠点間比較が重要な3つの理由

1. 改善の優先順位が明確になる

複数拠点を抱える企業では、どの拠点から改善すべきか判断が難しいものです。拠点間比較を行うことで、「人件費率が業界平均より10%高い」「残業時間が他拠点の1.5倍」といった定量的な差が見えてきます。

数値で現状を把握できれば、改善効果の大きい拠点から優先的に手を打てます。

2. ベストプラクティスを横展開できる

優れた成果を出している拠点には、必ず理由があります。シフト管理の工夫、作業手順の標準化、スタッフ育成の仕組みなど、成功している拠点のノウハウを他拠点に展開することで、全体のレベルアップが実現します。

ある食品物流企業では、人時生産性が最も高いA拠点の取り組みを分析し、他3拠点に展開した結果、全拠点の平均生産性が18%向上した事例があります。

3. 拠点間の健全な競争を生む

数値で拠点の状況が見える化されると、各拠点の責任者に「他拠点に負けたくない」という健全な競争意識が生まれます。成果を上げた拠点を表彰する仕組みを設ければ、モチベーション向上にもつながります。


比較すべき5つの重要指標

拠点間比較では、以下の5つの指標を定期的にモニタリングすることが重要です。

1. 人時生産性

計算式: 出荷件数 ÷ 総人時(総労働時間)

物流現場の生産性を測る最も基本的な指標です。1人時(1時間)あたり何件の出荷を処理できているかを示します。

目標値の目安: 業種や取扱商品により異なりますが、一般的な物流倉庫では1人時あたり5〜10件が標準的です。

確認ポイント:

  • ピッキング作業の効率化ができているか

  • ロケーション管理が適切か

  • 作業の標準化が進んでいるか

2. 人件費率

計算式: 人件費 ÷ 売上高 × 100(%)

売上に対する人件費の割合を示す指標です。物流業界では一般的に30〜40%が適正範囲とされています。

目標値の目安: 35%以下

確認ポイント:

  • 繁閑差に応じた適切な人員配置ができているか

  • 残業コストが適正か

  • 派遣スタッフと正社員のバランスは適切か

3. 残業率

計算式: 残業時間 ÷ 総労働時間 × 100(%)

残業の多さは、人員不足や業務の非効率性を示すシグナルです。

目標値の目安: 10%以下

確認ポイント:

  • シフト計画が需要予測と合っているか

  • 特定のスタッフに業務が集中していないか

  • 繁忙期の応援体制が整っているか

4. 欠勤率

計算式: 欠勤日数 ÷ 予定労働日数 × 100(%)

欠勤率の高さは、スタッフの健康状態やモチベーション、職場環境の問題を示唆します。

目標値の目安: 3%以下

確認ポイント:

  • 職場環境(温度管理、休憩スペースなど)は適切か

  • スタッフの健康管理ができているか

  • シフトの柔軟性はあるか

5. 離職率

計算式: 年間離職者数 ÷ 平均在籍者数 × 100(%)

離職率の高さは、採用・教育コストの増大だけでなく、サービス品質の低下にもつながります。

目標値の目安: 20%以下(物流業界平均は30%前後)

確認ポイント:

  • 新人教育体制は整っているか

  • 評価・昇給の仕組みは明確か

  • コミュニケーションは円滑か


拠点間ベンチマークの進め方(4ステップ)

STEP1:指標の定義統一

拠点間比較で最も重要なのが、指標の定義を統一することです。各拠点で異なる計算方法を使っていては、正確な比較ができません。

実施内容:

  • 各指標の計算式を文書化し、全拠点で共有する

  • 「総人時」に何を含めるか(休憩時間、準備時間など)を明確化する

  • 「出荷件数」のカウント方法を統一する(ピース単位かケース単位かなど)

  • 派遣スタッフの扱いを統一する(人件費に含めるかなど)

ポイント:
定義は細かすぎるほど良いです。「残業時間」一つとっても、30分未満は切り捨てるのか、15分単位で計算するのかで数値が変わります。曖昧さを排除しましょう。

STEP2:定期的な比較レポート作成

月次または週次で、各拠点のKPIを一覧表にまとめます。

実施内容:

  • Excelやクラウドツールで比較レポートのフォーマットを作成する

  • 各拠点の責任者から同じタイミングでデータを収集する

  • 前月比、前年同月比も併記し、トレンドを把握する

  • 目標値との乖離を色分けして視覚化する(目標達成:緑、要注意:黄、改善必要:赤など)

頻度の目安:

  • 人時生産性、残業率:週次または月次

  • 人件費率:月次

  • 欠勤率:月次

  • 離職率:四半期ごと

STEP3:差異の分析

数値に差がある場合、その原因を深掘りします。単に「A拠点は良い、B拠点は悪い」で終わらせず、なぜその差が生まれているのかを分析しましょう。

分析の観点:

  • 業務環境の違い:取扱商品、物量、施設の広さ、設備の新旧など

  • 人員構成の違い:正社員と派遣の比率、ベテランと新人の比率など

  • 運用方法の違い:シフト管理の方法、作業手順の標準化レベルなど

  • マネジメントの違い:拠点責任者のスキル、コミュニケーション頻度など

実施方法:

  • 月次のオンライン会議で各拠点責任者がKPIを報告する

  • 差が大きい拠点には個別ヒアリングを実施する

  • 成績の良い拠点には「成功要因」を発表してもらう

STEP4:ベストプラクティスの横展開

優れた成果を出している拠点の取り組みを分析し、他拠点に展開します。

実施内容:

  • 成功事例を文書化・マニュアル化する

  • 定期的な拠点間勉強会を開催する

  • 優秀拠点の責任者が他拠点を訪問し、ノウハウを共有する

  • 小規模なパイロット導入から始め、効果を検証してから全面展開する

横展開の例:

  • A拠点の「スキルマップを使った適正配置」を他拠点に導入

  • B拠点の「シフト希望のオンライン申請システム」を全拠点に展開

  • C拠点の「新人育成チェックリスト」を標準マニュアル化


拠点間比較を成功させる3つのポイント

1. 公平な比較条件を設定する

物量や取扱商品が大きく異なる拠点を単純比較しても意味がありません。「小物メインの拠点」と「大型家電メインの拠点」では、人時生産性の目安が異なります。

条件が異なる拠点は、セグメントを分けて比較しましょう。

2. 数字の裏にある「現場の声」を聞く

数値だけ見て判断すると、現場の実情を見誤ります。例えば、ある拠点の離職率が高い理由が「近隣に大型商業施設がオープンし、求人が流れた」という外部要因の場合、拠点の責任者を責めても解決しません。

定量データと定性情報(ヒアリング)をセットで把握することが重要です。

3. 改善を強制せず、自主性を尊重する

「本部から指標を押し付けられた」と感じると、現場の協力が得られません。拠点間比較の目的は、各拠点の改善を支援することであり、責任者を評価・処罰することではありません。

成功事例を共有し、「この方法を試してみたい」と現場が自発的に動く雰囲気を作ることが大切です。


よくある失敗例と対策

失敗例1:指標の定義が曖昧で、数値がバラバラ

原因: 各拠点が独自の方法で集計している

対策: STEP1の「定義統一」を徹底する。集計方法をExcelシートで配布し、入力フォーマットを統一する

失敗例2:データ収集が負担になり、継続できない

原因: 手作業で集計しており、現場責任者の負担が大きい

対策: 勤怠管理システムや出荷管理システムから自動でデータを抽出できる仕組みを導入する

失敗例3:比較するだけで終わり、改善につながらない

原因: 数値の共有だけで、具体的なアクションがない

対策: STEP4の「横展開」を必ず実施する。月次会議で必ず「今月の改善アクション」を決める


よくある質問(FAQ)

Q1. 拠点数が少ない(2〜3拠点)場合でも比較は有効ですか?

A. はい、有効です。拠点数が少なくても、時系列での比較(前月比、前年比)や、業界平均との比較ができます。また、2拠点でも互いの良い点を学び合うことで改善が進みます。

Q2. 拠点ごとに扱う商品や物量が異なる場合、どう比較すればいいですか?

A. 条件の近い拠点同士でグループ分けするか、「商品1個あたりの処理時間」など、条件の違いを吸収できる指標を使いましょう。完全に同じ条件での比較は難しいため、あくまで「改善のヒントを得る」視点が大切です。

Q3. 拠点責任者が比較を嫌がる場合、どう対処すればいいですか?

A. 「評価」ではなく「改善支援」であることを伝えましょう。成績の悪い拠点を責めるのではなく、良い拠点のノウハウを共有し、全体で成長する文化を作ることが重要です。

Q4. どのくらいの頻度で比較すればいいですか?

A. 最低でも月次で比較することを推奨します。週次で見られる指標(人時生産性など)は週次レポートを作成し、四半期ごとに詳細な分析会議を開くと効果的です。

Q5. 比較するためのツールは何を使えばいいですか?

A. 初期段階ではExcelで十分です。ただし、拠点数が多い場合や、リアルタイムで数値を共有したい場合は、クラウド型の人員管理ツールを導入すると効率的です。

Q6. 目標値はどう設定すればいいですか?

A. まず業界平均や過去の自社データを参考に暫定目標を設定し、数ヶ月運用しながら調整しましょう。最初から高すぎる目標を設定すると、現場のモチベーションが下がります。

Q7. ベストプラクティスの横展開がうまくいかない場合は?

A. 拠点の条件が異なるため、そのまま適用できないケースがあります。成功事例の「本質的な要因」を抽出し、各拠点の状況に合わせてカスタマイズすることが重要です。


まとめ

拠点間比較・ベンチマークは、複数拠点を運営する物流企業にとって、生産性向上と収益改善の強力な手段です。

この記事のポイント:

  • 人時生産性、人件費率、残業率、欠勤率、離職率の5指標を定期的に比較する

  • 指標の定義を統一し、公平な比較条件を整える

  • 優れた拠点の取り組みを分析し、他拠点に横展開する

  • 「評価」ではなく「改善支援」の姿勢で取り組む

まずは1つの指標から始め、月次での比較レポート作成を習慣化しましょう。数値で現状を把握できれば、改善の第一歩が踏み出せます。


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