前回までの記事で、Nested Learningの仕組みと、それによって実現できる機能をご紹介しました。「すごい技術だ!うちでも導入したい!」と思った方も多いのではないでしょうか。
しかし、ここで一つ大きな問題があります。研究論文の技術を実際の会社で使えるようにするのは、想像以上に大変なのです。
研究論文と実際の製品の違い
Googleの論文を読んで、「これは革新的だ!」と私も興奮しました。しかし、研究室の技術を実際の会社で使えるようにするのは、レシピと実際の料理の違いに似ています。
研究論文=プロのシェフのレシピ。
「フォアグラのポワレ、トリュフソース添え」
材料:フォアグラ(100g)、トリュフ(50g)、バター(無塩、発酵)、フォン・ド・ヴォー(自家製)
調理:フォアグラを80度で…ソースは別鍋で…
これはプロの厨房で、最高の材料で、理想的な環境で作る料理です。
実用システム=家庭料理
使える材料:スーパーで買えるもの
予算:1人500円以内
環境:普通の家庭の台所
調理時間:30分以内、洗い物も最小限に、失敗は許されない(お客様がいる)
しかも毎日作る、味は安定させる、アレルギー対応も必要。研究論文の技術を、実際の企業で使えるシステムにするのは、この違いを埋める作業です。

なぜ大手ベンダーは対応できないのか
「それなら、GoogleやMicrosoftが作ればいいのでは?」確かにそうです。しかし、大手には大手の制約があります。
制約1:全世界共通にする必要がある
大手の思考:「アメリカでも、ヨーロッパでも、日本でも、使える製品にしないと…」その結果、標準化された機能のみ、カスタマイズは最小限、日本企業の特殊な要望は後回しになります。
これは世界中で売る車に例えられます。グローバル大手自動車メーカーは世界中どこでも走れる車を作りますが、標準装備のみでカスタマイズは有料オプション。日本のお客様が「雪道対策を標準で付けて欲しい」と要望しても、「それは日本だけの要望なので、有料オプションになります」と言われます。一方、地元の自動車ディーラー(GXO)なら「この地域は雪が多いから、最初から雪道対策を全部付けて、価格もお得にしますよ」と対応できます。
制約2:意思決定が遅い
大手での新機能追加の流れは以下です。
お客様の要望(1ヶ月)→日本支社が本社に報告(1ヶ月)→グローバル会議で議論(2ヶ月)→優先順位を決定(3ヶ月)→開発計画に組み込み(6ヶ月)→開発・テスト(3ヶ月)→リリース。合計:約1年半後。
大企業の稟議書と同じです。大企業では社員→課長→部長→本部長→役員会議→社長決裁で2ヶ月かかります。
中小企業(GXO)なら社員「これ買いたいです」→社長「OK、買おう」で5分です。
制約3:中堅企業は優先度が低い
大手の主なお客様は、大企業(従業員10,000名以上)、年間契約額1億円以上、グローバル展開している企業です。中堅企業(従業員100-500名)は年間契約額が数百万〜数千万円なので、対応の優先度は低く、要望は後回しになります。
これは、高級レストランと街の定食屋に例えられます。
高級レストラン(大手ベンダー)は1人1万円以上の接待・記念日が対象客。中堅企業のあなたが「ランチで3,000円のコースある?ちょっとカスタマイズして欲しい」と言っても、「当店はコース料理のみです。カスタマイズは承れません」と言われます。
街の定食屋(GXO)なら「ランチ800円です!大盛り無料!苦手なものは抜きますよ!常連さんなら味付け調整します!」と対応できます。
中堅企業が本当に必要なもの
大手ベンダーの課題
高機能すぎる(使わない機能にもお金を払う)、高額すぎる(ユーザー数×月額課金)、カスタマイズできない、サポートが形式的。
小規模ベンダーの課題
技術力不足、実績不足、サポート体制が弱い、継続性に不安。
中堅企業が求めているもの
最新技術を使える、自社に合わせたカスタマイズ、適正価格、手厚いサポート、迅速な対応、経営者と直接話せる、長期的に信頼できる。
これは「ちょうどいい服屋さん」に例えられます。高級ブランド店(大手)は「こちら30万円のスーツです。サイズ直しは有料です」。激安量販店(小規模)は「1万円!でも品質は…サポート?ありません」。街の仕立て屋(GXO)は「8万円で、あなたに合わせて仕立てます。サイズ直しはもちろん無料。困ったことがあれば、いつでも来てください」。これが、GXOが提供する価値です。
まとめ
今回の記事では、最新AI技術を実用化する難しさと、大手ベンダーの制約について解説しました。
研究論文の技術と実用システムには大きな差がある
大手ベンダーは「全世界共通」「意思決定が遅い」「中堅企業は後回し」という制約がある
中堅企業には「最新技術」「カスタマイズ」「適正価格」「手厚いサポート」が必要
次回は「GXO株式会社が提供する独自の価値とは」と題して、私たちがどのようにこれらの課題を解決し、中堅企業に価値を提供しているかをご紹介します。
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