SEO・コンテンツマーケ📖 9分で読了

データはあるのに意思決定できない会社の共通点SEOツールを入れても受注が増えない——「調査→判断→実行」の接続不良を解消する最小成果物3点

データはあるのに意思決定できない会社の共通点

SEOツールでデータは見えているのに、次の打ち手が決まらない。その原因は「判断の型」不足にあることが多い。本記事では、判断が止まる3つの構造と、受注につなげるための最小成果物(施策台帳・優先順位マップ・検証の型)を解説します。

結論から言います。SEOツールを入れても受注が増えないのは「ツール」ではなく「設計」の空白が原因です。

SEOツールを入れても受注が増えないとき、ツール選定"だけ"では埋まらない「調査→判断→実行」をつなぐための設計物(施策台帳・優先順位マップ・検証の型)が未整備なことが、詰まり所になっている場合があります。

3行まとめ

  1. ツールは観測(順位・ボリューム)に強いが、判断と実行は組織側の設計に依存しやすい

  2. 検索ボリュームだけで優先順位を決めると、意思決定が長期化しやすい

  3. まず整えるべきは「施策台帳」「優先順位マップ」「検証の型」の3点

順位やボリュームは見えても、次の3つが揃わないと、データは"眺めるだけ"になりやすい傾向があります。

  • 事業に効く指標の定義(受注までの中間成果が何か)

  • 工数と期待効果にもとづく優先順位(なぜこの順番なのか)

  • 検証して学びを残す運用(次に活かせる型があるか)

この記事では、判断が止まる構造と、受注につなげるための最小成果物(棚卸しシート/優先順位マップ/検証の型)を整理します。

最初の一歩は、上位10〜20施策(目安)を同じフォーマット(狙い/工数/期限/期待効果/検証)で並べ、3軸スコアで上位3〜5件(目安)に絞ることです。

※30分(目安:論点整理まで)でできるのは「詰まり所の論点整理(仮説)」までで、台帳化・採点は状況により追加時間が必要です。

用語の定義

本稿の"コンバージョン"は、資料請求・問い合わせ・商談化など、受注に向かう中間成果を指します(成約=受注とは区別)。


【根拠】観測データと意思決定の間に"溝"ができる理由

ツールが出すのは観測データ、止まるのは意思決定

SEOツールは、検索順位の推移、キーワードの検索ボリューム、競合サイトの状況といった「観測データ」を提供します。これ自体は有用ですが、「観測」と「施策実行」の間には溝がある場合が想定されます。

※ツールにより提案機能やアラート機能は異なります。本稿は"運用設計"の論点に絞ります。

たとえば、あるキーワードで順位が下がったことがわかっても、次のような問いには組織として答える必要があります。

  • そのキーワードは本当に注力すべきか?(事業との適合)

  • 改善にはどれくらいの工数がかかるか?(実行コスト)

  • 他の施策と比べて優先度は高いか?(比較判断)

「データはあるのに決められない」状態の典型サイン

以下のような状態が続いていたら、観測と判断の接続が切れている可能性があります。

サイン

想定される原因

毎月のレポートは見ているが、そこから何をするか決まらない

判断基準が言語化されていない

会議で「とりあえずこれやりましょう」と空気で決まる

優先順位の軸が共有されていない

施策の成果検証が「やりっぱなし」になっている

検証の型がない

担当者が変わると、方針がリセットされる

引き継げる情報がない

この章の要点:判断が止まる原因は、情報不足より「判断の型」不足である場合があります。

  • 観測データを「優先順位」に変換するルールが必要

  • 工数・期待効果・事業適合が揃わないと決めにくい

  • 検証の型がないと学びが蓄積されない


【構造】判断が止まる3つの詰まり所

ボリューム偏重で優先順位が揺れる

「検索ボリュームが多いキーワードから対策しよう」という方針は、一見合理的に見えます。しかし、実際の現場では次のような問題が起きやすい傾向があります。

  • ボリュームが多いキーワードは競合も強く、成果が出るまで時間がかかりやすい(※競合強度やドメインの状況により異なります)

  • 自社サービスとの関連性が薄いキーワードに工数を割いてしまう場合がある

  • 短期で成果が出そうな施策が後回しになりやすい

属人化は「人」ではなく「型」の問題

「この人がいないと回らない」状態は、能力の問題だけでは説明しきれず、引き継げる"型"がないことが一因になっている場合があります。

詰まるポイント

状況

結果

判断の暗黙知化

「なぜこのキーワードを選んだか」が説明できない

担当者が変わると方針が引き継げない

進捗の分散

スプレッドシートや個人メモで管理

全体像が見えず、重複や抜け漏れが発生しやすい

振り返り不足

やりっぱなしで効果検証をしない

成功パターンが蓄積されない

データの結合点で詰まりやすい

SEOのデータ(流入、順位、ページ別PV)と、商談のデータ(問い合わせ、商談化、受注)がつながっていないと、「この施策は受注に効いたのか」が判断しにくくなります。

つながらない原因は、システムの問題(GA4とCRMの連携)だけでなく、ID設計や指標定義の問題であることも想定されます。

参考:DX白書の示唆(協働の有効性)

IPA「DX白書2023 エグゼクティブサマリー」(2023年3月16日発行)では、予算・人材・ノウハウの確保など自社単独で解決が難しい課題に対して、外部の企業・団体との協働が有効な手段になり得る旨が述べられています(p.7、出典:IPA「DX白書2023 エグゼクティブサマリー」)。

※上記は出典の要旨です。SEO運用への当てはめは本稿の整理であり、当てはまり方は個社状況により異なります。

この章の要点:判断が止まる原因は「ボリューム偏重」「属人化(型の不在)」「データ結合点の不備」の3つに集約されやすい傾向があります。

  • いずれも"仕組み"の課題であり、担当者の努力だけでは解きにくい場合がある

  • 引き継ぎで消える情報は「施策」ではなく「判断理由」であることが多い

  • GA4→CRM/MAの接続で、ID/定義/紐付けの"どこがズレていそうか"を洗い出すと、次の打ち手が決まりやすくなります


【対策】調査→判断→実行をつなぐ最小成果物3点

観測だけの状態 vs 運用設計がある状態

ここでいう「運用設計」は特定のツール名ではなく、意思決定に必要な情報(目的・優先度・工数・担当・期限・検証)を、チームで同じ形で扱える"業務×データ×管理の型"を指します。

観点

観測だけの状態

運用設計がある状態

見えるもの

順位、ボリューム、競合状況

+優先度、工数、担当、期限、期待効果

優先順位

毎回議論、または空気で決まりやすい

基準に基づいて整理されている

進捗管理

個人のメモやシートに分散しやすい

一元化されている

引き継ぎ

担当者の頭の中に依存しやすい

型として残っている

検証

やりっぱなしになりやすい

振り返りと学びが蓄積される

※仕組みは作っただけでは回りません。責任者・会議体・更新ルールが必要です。

成果物① 施策台帳(10〜20件から)

現在進行中・検討中の施策を一覧化します。

項目

内容

施策名/対象KW

何をやるか

狙い(意図)

なぜこの施策か、受注との距離

工数見積り

どれくらいかかるか(仮置きでもOK)

担当/期限

誰がいつまでに

期待効果

何がどう変わるか

現在のステータス

未着手/進行中/完了/保留

まずは上位10〜20施策からで構いません。重要なのは数ではなく、同じフォーマットで"判断に必要な情報"を揃えることです。

成果物② 優先順位マップ(スコアリング)

施策ごとに、以下の3軸で点数化(例:各5点満点)し、合計点で並べ替えます。

問い

期待効果

受注にどれだけ近い成果が見込めるか

実現容易性

工数、難易度、リソース

事業適合

自社の強み、戦略との整合

(採点の目安例)

  • 期待効果:5=商談/問い合わせに直結、3=検討層の獲得、1=認知寄り

  • 実現容易性:5=1〜2日で対応、3=1〜2週、1=1か月以上/他部署調整が多い

  • 事業適合:5=主力商材・強みと直結、3=関連、1=周辺テーマ

(同点時ルール)

同点なら「実現容易性が高い施策」→「検証しやすい施策」を優先。

まずは上位3〜5件に絞って着手できる状態を目指します(体制・工数により調整)。

※業種・商材・営業プロセスにより最適解は変わります。

成果物③ 検証の型

項目

内容

KPI定義

何をもって成功/失敗とするか(例:流入数、CVR、商談化率)

レビュー頻度

例:週次/月次、誰が確認するか

学びの残し方

うまくいった/いかなかった理由をどこに記録するか

会議体・更新ルール

運用設計を作っても、「誰が」「いつ」「何を見て」「どう判断するか」が決まっていないと形骸化しやすくなります。最低限、以下の3点を決めておくと回りやすくなります。

  • 責任者:施策の優先順位を最終決定する人

  • 会議体:例:週次/月次で進捗と成果をレビューする場

  • 更新ルール:台帳やマップをいつ誰が更新するか

この章の要点:最初に作るべきは記事ではなく、上位3〜5施策が決まる「台帳」「優先順位マップ」「検証の型」です。

  • 台帳は10〜20件から始め、同じフォーマットで情報を揃える

  • スコアリングは「期待効果×実現容易性×事業適合」の3軸で

  • 会議体・更新ルールがないと形骸化しやすい


【失敗パターン】形骸化する3つの理由

成果物を作っても、運用が続かないケースがあります。よくある失敗パターンを3つ整理します。

採点基準がない/曖昧

「期待効果5点って何?」が定義されていないと、結局"感覚"で点数をつけることになり、スコアリングの意味が薄れやすくなります。

対策:採点の目安例(前章参照)を"仮でもいい"ので言語化し、チームで共有する。

更新されない

台帳を作っても、誰も更新しなければ古い情報のまま放置されます。「作って終わり」が形骸化の典型パターンです。

対策:更新担当と頻度(例:週1で担当者が記入、月1で全体確認)を明文化する。

会議体がない/機能しない

台帳やマップがあっても、それを見て判断する"場"がないと、結局は会議の空気で決まりやすくなります。

対策:最低限、例:月1回の「優先順位レビュー会」を設定し、台帳を見ながら判断する習慣をつける。

この章の要点:形骸化の原因は「採点基準の不在」「更新されない」「会議体がない」の3つに集約されやすい傾向があります。

  • 仕組みは"作る"より"回す"が難しい

  • 更新担当・頻度・会議体を明文化することで継続しやすくなる

  • 完璧を目指さず、まず"仮置き"で始めることが重要


【進め方】10→3〜5→1の絞り方

「どこから手をつければいいかわからない」という場合は、以下の3ステップで絞ると進めやすくなります。

ステップ1:10〜20施策を書き出す

まずは「いま動いている施策」「検討中の施策」を、細かく分類せずに書き出します。精度より"出すこと"が優先です。

ステップ2:3軸スコアで上位3〜5件に絞る

「期待効果×実現容易性×事業適合」で点数をつけ、合計点の上位3〜5件を"今月の注力施策"として選びます。

※全施策を完璧に採点する必要はありません。上位3〜5件が"なぜこの順番か"を説明できれば十分です。

ステップ3:今月は1件だけ"完了"を目指す

上位3〜5件のうち、最も実現容易性が高い1件を「今月中に完了させる」と決めます。1件でも"回せた"という実績が、次の施策への推進力になります。

この章の要点:進め方は「10〜20→3〜5→1」の3ステップで絞ると動きやすくなります。

  • まずは書き出す(精度より量)

  • スコアで絞る(上位3〜5件)

  • 今月は1件だけ完了を目指す(小さく回す)


【チェックリスト】セルフ診断(12項目)

現状整理チェック(5項目)

  • 上位10〜20施策を一覧化できている

  • 各施策の「狙い(意図)」が説明できる

  • 各施策の「工数見積り」が入っている(仮置きでもOK)

  • 各施策の「担当/期限」が明確になっている

  • 施策のステータス(未着手/進行中/完了/保留)が可視化されている

優先順位チェック(4項目)

  • 優先順位の判断基準が言語化されている

  • 「期待効果×実現容易性×事業適合」で点数化している

  • 上位3〜5施策が「なぜこの順番か」を説明できる

  • 検索ボリューム以外の軸を使っている

検証・引き継ぎチェック(3項目)

  • KPI定義(何をもって成功/失敗とするか)が決まっている

  • レビュー頻度と担当者が決まっている

  • 学びの残し方(どこに記録するか)が決まっている

セルフ診断:「いま注力している上位3〜5施策は何か?」「なぜその順番なのか?」を1分で説明できますか?説明できない場合は、判断基準が言語化されていない可能性があります。


【FAQ】よくある質問

Q1. SEOツールのデータを、受注(商談)につなげるには何が足りない?

A. 「判断の型」が不足している場合が多いと考えられます。ツールが出す観測データ(順位、ボリューム)を、優先順位(何から着手するか)に変換する基準が言語化されていないと、データは眺めるだけで終わりやすくなります。まずは「期待効果×実現容易性×事業適合」の3軸で施策を並べ替えてみてください。

Q2. SEO施策の優先順位は、検索ボリューム以外に何で決めるべき?

A. 「意図(受注までの距離)」「勝ち筋(自社の強み)」「工数(実行コスト)」「再現性(横展開できるか)」を加えると、判断しやすくなる傾向があります。検索ボリュームは参考値にとどめ、自社の事業目標との整合で判断するのがポイントです。

Q3. SEO運用の属人化を解消する"最小の仕組み"は何?

A. 「施策台帳」を1枚作ることです。施策ごとの狙い・工数・担当・期限・期待効果・検証方法を同じフォーマットに揃えるだけで、引き継ぎと改善速度が上がりやすくなります。担当者が変わっても、台帳を見れば「何をなぜやっているか」がわかる状態を目指してください。

Q4. 社内だけで整理が難しい場合、どうすればいい?

A. 第三者に「現状の棚卸し」と「優先順位の型づくり」だけ依頼するのも有効です。詰まりやすいのは「指標定義が部署でズレる」「工数見積りができない」「データ連携が設計されていない」の3点です。何が未整理かを論点と仮説として洗い出すだけでも、次の一手が決まりやすくなります。


次の一歩(無料でできること)

データを見ているのに次の打ち手が決まらない——その状態は、困って当然です。 多くの場合、担当者の努力だけでは解きにくい「仕組み(判断の型)」の課題が絡みます。

無料の壁打ちで「どこが未整理か」を可視化し、次に着手すべき優先順位の叩き台を作ります。 持ち帰り用メモ(例:詰まり所×仮説×次の一手の3点整理)を共有します。

  • 現状整理(30分):詰まりやすいポイントを論点と仮説として整理(持ち帰りメモ共有)

  • 簡易レビュー:公開情報(サイト構造/主要導線)から論点を洗い出し

  • テンプレ提供:施策台帳・優先順位マップの雛形(自社入力は貴社にて)

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参考資料

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