結論:「事例がある」と「稟議で使える事例」は違う
要点:B2Bでは「事例がある」だけでは不十分。稟議・決裁で使える形になっていないと、受注につながらない。
「導入事例はあるのに、商談・受注が増えない」──こうした悩みを持つB2B企業は多いです。
原因は、事例が「稟議で使えない」形になっていることにあります。
B2Bでは、担当者が「いいと思った」だけでは発注できません。上司や関係部署に説明し、稟議を通し、決裁を得る必要があります。
そのためには、担当者が**「社内に持ち帰れる事例」**が必要です。
稟議で使えない事例の典型例
「導入しました」だけで、課題・成果が不明
数字がなく、効果が分からない
自社と業種・規模が違いすぎて参考にならない
セキュリティ・運用・体制が書かれていない
リスクや失敗ポイントが書かれていない
本記事では、稟議・決裁で通る事例ページの作り方を、テンプレと具体例つきで解説します。
稟議で通る事例の定義
要点:稟議で通る事例とは、「担当者が社内に持ち帰って説明できる事例」のこと。
稟議で求められる情報
稟議を通すには、担当者が上司や関係部署に以下の情報を説明できる必要があります。
説明すべきこと | 事例に必要な情報 |
|---|---|
なぜ必要か | 課題・背景 |
何をするのか | 施策・導入内容 |
どんな効果があるか | 成果・数字 |
どのくらいかかるか | 期間・体制・費用感 |
リスクはないか | セキュリティ・運用・サポート |
他社もやっているか | 実績・同業他社事例 |
「稟議で使える」の基準
事例が稟議で使えるかどうかは、以下の質問で判断できます。
「この事例を見せれば、担当者は上司に説明できるか?」
課題・施策・成果が1分で説明できる → OK
「うちと似てる」と思える業種・規模 → OK
数字または定性的な効果が明確 → OK
リスク・運用・体制が書かれている → OK
1つでも欠けていると、担当者は「もう少し調べてから」となり、比較検討から外れやすくなります。
事例の鉄板構造(7つの要素)

要点:稟議で通る事例は「課題→施策→成果→体制→期間→リスク対策→学び」の7要素で構成する。
7つの要素と記載例
# | 要素 | 記載例 |
|---|---|---|
1 | 課題・背景 | 「手作業での在庫管理に月40時間かかり、ミスも多発していた」 |
2 | 施策・導入内容 | 「クラウド在庫管理システムを導入し、リアルタイム連携を実現」 |
3 | 成果・効果 | 「月40時間→8時間に削減(80%減)、ミス件数は月10件→1件に」 |
4 | 体制 | 「導入担当2名+当社SE1名で推進」 |
5 | 期間 | 「要件定義2週間、開発2ヶ月、テスト2週間、計3ヶ月」 |
6 | リスク対策 | 「移行時のデータ整合性は事前検証で担保、24時間サポート体制」 |
7 | 学び・ポイント | 「現場の巻き込みが成功の鍵。初期に操作研修を実施したことで定着がスムーズだった」 |
なぜ7要素が必要か
B2Bの稟議では、「効果」だけでなく「リスク」も説明する必要があります。
決裁者は「うまくいくか」だけでなく「失敗したらどうなるか」「リスクはどう対策するか」を確認します。
7要素が揃っていれば、担当者は上司に**「効果もリスク対策も確認済みです」**と説明できます。
数字が出せない時の代替表現
要点:数字が出せない場合でも、代替指標や定性的な表現で効果を伝えられる。
数字が出せないケース
顧客が数字の公開をNGにしている
効果が定量化しにくい(満足度、安心感など)
導入直後で数字がまだ出ていない
代替表現の型
代替の型 | 例 |
|---|---|
レンジ(範囲) | 「20〜30%の工数削減」「50〜100時間/月の削減効果」 |
割合 | 「約8割の作業を自動化」「エラー率を半減」 |
期間短縮 | 「3日かかっていた作業が1日に」「リードタイムを1週間短縮」 |
ミス・手戻り削減 | 「月10件あったミスがほぼゼロに」「手戻りが大幅に減少」 |
満足度・評価 | 「現場から"楽になった"という声が多数」「社内アンケートで満足度90%」 |
定性コメント | 「残業が減り、社員のモチベーションが向上した」 |
Before/After比較 | 「導入前は○○だったが、導入後は○○になった」 |
数字がなくても説得力を出すコツ
「具体性」と「変化の方向」を示すことが重要です。
❌ 「効果がありました」
✅ 「月40時間かかっていた作業が、ほぼ半分になった」
❌ 「お客様に喜ばれました」
✅ 「"これまで3日かかっていた確認作業が当日で終わるようになった"とのお声をいただいた」比較・稟議・決裁で刺さる要素
要点:B2Bの購買プロセス(比較→稟議→決裁)ごとに、刺さる要素が異なる。
比較段階で刺さる要素
要素 | 理由 |
|---|---|
業種・規模の一致 | 「自社と似ている」と思えると、比較対象に残りやすい |
課題の一致 | 「自社の課題と同じ」と思えると、読み込んでもらえる |
導入ハードル | 「簡単に導入できそう」と思えると、候補に残る |
稟議段階で刺さる要素
要素 | 理由 |
|---|---|
成果・数字 | 「効果がある」と上司に説明できる |
期間・体制 | 「現実的に進められる」と説明できる |
費用感 | 「予算内に収まる」と説明できる |
決裁段階で刺さる要素
要素 | 理由 |
|---|---|
セキュリティ対応 | 「リスクは対策済み」と説明できる |
運用・サポート | 「導入後も安心」と説明できる |
再現性 | 「うちでも同じ効果が出そう」と思える |
実績・第三者評価 | 「信頼できる会社」と説明できる |
補足:事例を改善しても受注が増えない場合
事例ページを改善しても受注が増えない場合、「CV導線」「提案力」のいずれかに問題がある可能性があります。
B2Bでは「情報収集→比較→稟議→決裁」という流れがあり、事例ページは主に「比較」「稟議」「決裁」段階で機能します。しかし、CV導線(次に何をすべきか)が設計されていないと、事例を読んでも問い合わせに至りません。
「順位は取れているのに受注できない」という課題の全体像は、以下の記事で解説しています。
→ 検索順位1位でも失注するB2B企業の構造的問題──CV導線・提案力・証拠の欠落が"最後の壁"になる
事例ページのテンプレ(見出し構成)
要点:事例ページは「概要→課題→施策→成果→ポイント→CTA」の構成で作る。
推奨構成(見出し案)
【H1】導入事例:○○株式会社様
【H2】企業概要
- 業種、従業員数、課題の背景
【H2】導入前の課題
- 具体的な課題(数字または状況)
- なぜ解決が必要だったか
【H2】導入の決め手
- 選定理由(比較検討のポイント)
- 当社を選んだ理由
▼ 選定理由の書き方テンプレ(5項目)
① 要件適合:「自社の課題に対応できる機能があった」
② 体制・伴走:「導入後も伴走支援があり、定着まで見てもらえる」
③ リスク対策:「セキュリティ対応・運用体制が明確だった」
④ 期間:「スケジュールが現実的で、段階的に進められる」
⑤ 費用:「予算内に収まり、段階拡張も可能だった」
【H2】導入内容
- 何を導入したか
- 導入の流れ(期間・体制)
【H2】導入後の成果
- 定量的な効果(数字)
- 定性的な効果(現場の声)
【H2】今後の展望
- 追加導入の予定
- 期待している効果
【H2】担当者からのコメント(任意)
- 導入を振り返って
【H2】プロジェクト概要
- 表形式:期間、体制、費用感(可能なら)
【CTA】
- 資料ダウンロード
- 事例集ダウンロード
- 相談・診断申し込み事例概要の表テンプレ
| 項目 | 内容 |
|------|------|
| **企業名** | ○○株式会社(匿名の場合は「製造業A社」等) |
| **業種** | 製造業(精密機器) |
| **従業員数** | 約300名 |
| **課題** | 在庫管理の属人化、月40時間の手作業 |
| **導入サービス** | クラウド在庫管理システム |
| **期間** | 3ヶ月 |
| **体制** | 導入担当2名+当社SE1名 |
| **成果** | 工数80%削減、ミス件数90%削減 |稟議用1枚への圧縮方法

要点:事例ページの情報を「稟議用1枚」に圧縮すると、担当者が持ち帰りやすくなる。
B2Bでは、担当者が「いいと思った」だけでは発注できません。上司や関係部署に説明するための資料が必要です。事例を1枚に圧縮した「稟議用サマリー」があると、社内の意思決定が進みやすくなります。
稟議用1枚の構成
【稟議用サマリー】○○システム導入事例
■ 事例企業:製造業A社(従業員300名)
■ 導入前の課題
・在庫管理に月40時間の手作業
・ミスが月10件発生
■ 導入内容
・クラウド在庫管理システム導入
・期間:3ヶ月、体制:2名+SE1名
■ 導入後の成果
・工数:40時間→8時間(80%削減)
・ミス:10件→1件(90%削減)
■ 当社への適用可能性
・同業種・同規模で再現性あり
・セキュリティ対応済み
・24時間サポート体制圧縮のポイント
ポイント | 解説 |
|---|---|
1分で読める量 | A4で1枚、箇条書き中心 |
数字を前に出す | 効果は数字で示す(定量) |
自社への適用可能性 | 「うちでもできそう」と思わせる |
リスク対策を含める | セキュリティ・サポートを明記 |
チェックリスト:あなたの事例は稟議で使えるか
以下の10項目に「Yes」または「No」で答えてください。
# | チェック項目 | Yes/No |
|---|---|---|
1 | 課題:導入前の課題が具体的に書かれているか | □ |
2 | 施策:何を導入したかが明確か | □ |
3 | 成果:数字または定性的な効果が示されているか | □ |
4 | 期間:導入にかかった期間が明記されているか | □ |
5 | 体制:必要な体制(人数・役割)が明記されているか | □ |
6 | 業種・規模:読者が「自社と似ている」と思える属性が示されているか | □ |
7 | セキュリティ:セキュリティ対応・リスク対策が書かれているか | □ |
8 | 運用・サポート:導入後の運用・サポート体制が書かれているか | □ |
9 | 学び・ポイント:成功の要因や学びが整理されているか | □ |
10 | CTA:資料DL・相談への導線があるか | □ |
診断結果
「No」が3つ以上ある場合:
事例ページに改善の余地があります。稟議・決裁段階で候補から落ちている可能性があります。
「No」が5つ以上ある場合:
事例ページが稟議で使えない状態です。事例があっても受注につながりにくい構造になっています。
FAQ:よくある質問
Q1:顧客名を出せない場合はどうすればいい?
A:匿名でも業種・規模・課題を明記すれば効果があります。
「製造業A社(従業員300名)」のように属性を示し、課題・施策・成果を具体的に書けば、読者は「自社と似ている」と判断できます。
Q2:数字を公開できない場合は?
A:レンジ(範囲)、割合、定性コメントで代替できます。
「20〜30%の工数削減」「約8割の作業を自動化」「"楽になった"という声が多数」など、数字以外でも効果を伝えられます。
Q3:事例が少ない(1〜2件しかない)場合は?
A:少なくても「深く書く」ことで効果があります。
1件でも7要素(課題→施策→成果→体制→期間→リスク対策→学び)を網羅すれば、説得力のある事例になります。
Q4:事例ページと事例集(PDF)、どちらを優先すべき?
A:まず事例ページを作り、PDFはダウンロード用に活用します。
事例ページはSEO効果があり、検索から流入を獲得できます。PDFは「持ち帰り用」として資料DL導線に使います。
Q5:事例インタビューで何を聞くべき?
A:7要素を引き出す質問を準備します。
「導入前の課題は?」「なぜ当社を選んだ?」「導入後の変化は?」「苦労した点・成功のポイントは?」などを聞きます。
Q6:古い事例は更新すべき?
A:定期的に最新情報を追加するか、非公開にします。
3年以上前の事例は「古い」と見られることがあります。追加成果があれば更新し、なければ新しい事例を優先します。
Q7:競合と似たような事例しかない場合は?
A:「学び・ポイント」で差別化します。
成果だけでなく「なぜ成功したか」「どこに工夫があったか」を深掘りすることで、競合との差別化ができます。
まとめ
1. 「事例がある」と「稟議で使える事例」は違う
B2Bでは、担当者が「社内に持ち帰って説明できる事例」でないと、稟議・決裁で通りません。
2. 事例は7要素で構成する
課題→施策→成果→体制→期間→リスク対策→学び──この7要素が揃っていれば、稟議で使える事例になります。
3. 数字が出せなくても代替表現で伝えられる
レンジ、割合、期間短縮、ミス削減、定性コメントなど、数字以外でも効果を伝える方法があります。
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診断のアウトプット例
アウトプット | 内容 |
|---|---|
改善優先順位表 | 何から手をつけるべきかを優先度付きで整理 |
事例ページテンプレ | 見出し構成と記載項目の雛形 |
稟議用1枚テンプレ | 事例を1枚に圧縮する雛形 |
インタビュー質問リスト | 7要素を引き出す質問の雛形 |
GXOの特徴
いきなり制作・運用を売らない(まず診断から)
診断完了後は、内製・外注どちらでも進められる形で納品
大手コンサルティングファーム案件を含む支援実績あり(守秘義務の範囲で説明可能)
「事例が弱い」と感じている段階でも相談可能です。
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