サイバーセキュリティ📖 1分で読了

AIが「実在ネットワーク」でプロを上回った──企業が今すぐ見直すべき『セキュリティの前提』とは年1回の診断では追いつかない時代へ。最初の一手は「公開攻撃面の棚卸し」。

AIが「実在ネットワーク」でプロを上回った──企業が今すぐ見直すべき『セキュリティの前提』とは

Stanford大学の研究で、AIエージェントが実環境のペンテストでプロ10人中9人を上回りました。攻撃の前提が「並列・常時・低コスト」に変わった今、企業が見直すべきセキュリティの前提と、最初に取り組むべき「攻撃面の棚卸し」について解説します。この記事は、情シス・セキュリティ責任者・IT統括の方向けです。「年1回の脆弱性診断はやっているのに不安」「外部公開資産を把握しきれていない」企業は、まずここから見直すべきです。

GXO株式会社の稲葉です。

「年1回の脆弱性診断をやっているから大丈夫」

その前提が、いま静かに崩れ始めています。

スタンフォード大学の研究チームは、CTFでも既知CVEの再現でもない、実在の大規模ネットワーク環境で、プロのペンテスター(侵入テストの専門家)10名とAIエージェントを同条件で比較しました。

結果は衝撃的です。新しいAIエージェント枠組み「ARTEMIS」は、10人中9人のプロを上回り、総合2位に入りました。

この研究が示すのは「AIがすごい」という話ではありません。

攻撃の前提が『並列・常時・低コスト』に変わった、という事実です。

1. 何が「現実的」で、何がすごいのか

この比較が強い理由は、舞台が『現場』だったことです。

  • 対象は約8,000ホスト/12サブネットを持つ大学ネットワーク

  • 10名のプロと、複数の既存AIエージェント、新枠組みARTEMISを比較

  • 成果は「提出した脆弱性レポートの妥当性(Valid率)」「重大度・複雑性」などで評価し、順位化

ARTEMISは9件の有効な脆弱性を提出し、Valid率82%で総合2位。さらに「$18/時の構成(別構成は$59/時)」など、コスト面でも比較されました。

参考:Stanford University, Carnegie Mellon University, Gray Swan AI『Comparing AI Agents to Cybersecurity Professionals in Real-World Penetration Testing』

https://arxiv.org/abs/2512.09882

2. AIが勝ちやすい『本当の理由』

論文が示すARTEMISの強みは、ハッキングの魔法ではなく「運用能力」です。

強み①:探索が体系的で、抜け漏れが少ない

ARTEMISは「systematic enumeration(体系的な列挙・調査)」を強みとして挙げられています。

現場のセキュリティ事故の多くは「想定外の穴」ではなく「棚卸し漏れ」から始まります。

強み②:並列で同時進行できる(『人員』が増える)

ARTEMISは怪しい兆候を見つけると、サブエージェントを立ち上げて並列に調査できます。人間は同時に追える仮説に限界があるため、ここが構造的に不利になります。

強み③:忘れない/疲れない/粘る

「気づいたけど後でやろう」が、そのまま放置される。

現場ではよくある話ですが、AIはTODOとログで保持し続け、時間の限り探索を継続できます。

強み④:GUIに依存せず、CLIで突き進める場面がある

論文中では、古い管理インターフェースの事例として、ブラウザが弾く古いHTTPS周りを、CLIで回避して脆弱性に到達した例が紹介されています(※研究文脈での比較事例です)。

3. ただしAIは万能ではない(ここを誤解しない)

この研究は時間制約など現実より短い条件もありますが、それでも「低コストで並列に回せる攻撃が成立する」こと自体が前提転換です。 arXiv

論文は、AIの弱点も明確に書いています。

  • GUI操作が絡むタスクが苦手(ブラウザ経由の操作など)

  • 偽陽性(false positive)が増えやすい

  • 実験条件として、参加時間が短い等の制約もある(現実のペンテストは1〜2週になることが多い、と言及)

つまり結論は「AIが人間を駆逐」ではありません。

『AIを前提にした攻撃が現実的なコストで成立し始めた』が本質です。

4. 企業が今すぐ見直すべき『セキュリティの前提』

この研究が突きつけるのは、次の前提転換です。

前提転換①:年1回の点検 → 『常時の棚卸し』へ

攻撃側が並列・常時化するなら、防御側も最低限、攻撃面(Attack Surface)を常に把握する必要があります。

前提転換②:「脆弱性」より「設計と運用の破綻」が問題になる

よくあるリスクは、派手なゼロデイよりも——

  • 放置サブドメイン/テスト環境の残骸

  • 更新停止CMS/古い管理画面

  • 認証・権限設計の曖昧さ

  • ログが残らない・追えない運用

こうした『構造』です。構造が原因なら、部分改修を繰り返すほどコストが膨らみ、最終的に刷新(リニューアル)が合理的になります。

前提転換③:見つける → 優先順位を付けて直す(全部直さない)

重要なのは「全部直す」ではなく、経営インパクト順に直すこと。

AI時代は特に、棚卸しと優先順位付けがないと、対策が永久に終わりません。

5. GXO株式会社として支援できること

GXO株式会社では、AI時代の攻撃前提に合わせて

  • 公開資産・攻撃面の棚卸し(可視化)

  • リスクの優先順位付け(経営に伝わる形で整理)

  • 『直す』だけで限界がある領域は、セキュリティ前提でのシステムリニューアル(刷新)まで

を一気通貫で支援します。

まとめ

この研究が示したのは「AIすごい」ではなく、

攻撃の生産性が、構造的に上がってしまったという現実です。

だからこそ最初の一手は、最先端の対策導入ではなく——

自社の攻撃面を『棚卸しして、優先順位を付けること』です。

【無料】公開攻撃面(Attack Surface)簡易棚卸しのご相談

AI時代の攻撃は「並列・常時化」しています。

まずは貴社の公開資産・攻撃面を整理し、優先順位を付けるところからご一緒します。

フォーム送信後、1〜2営業日以内に担当よりご連絡します。

  • いきなり提案・営業ではなく、現状の整理から実施します

  • NDAが必要な場合も対応可能です

  • 「リニューアル前にセキュリティ要件を固めたい」相談も歓迎

▶ お問い合わせはこちら:https://gxo.co.jp/contact/

この記事についてもっと詳しく知りたい方へ

GXOでは、サイバーセキュリティに関する詳しい資料を無料で提供しています。導入事例や成功事例、具体的な導入手順を詳しく解説しています。