AIが使えないのではない。使える状態にしていないだけだ。
AI導入が進まない企業の9割は、AIそのものではなく、レガシーシステムとデータ基盤に問題を抱えている。Gartnerは「2026年までに80%以上の企業がGenAI対応アプリを本番環境で運用する」と予測しているが、これは「導入した企業」であって「活用できている企業」ではない。AI導入の失敗原因は、ほぼすべてDX以前にある。
AI導入が進まない企業の共通点
「AI導入」がゴールになっている
AI導入が進まない企業は、AIを「目的」として捉えている。「競合がAIを導入したから」という動機では「導入したが使われない」結果に終わる。
▶ AIは課題解決の手段。目的が不明確なまま導入しても成果は出ない。
経営層とIT部門の認識ギャップ
経営層は「AIで劇的な変革を」と期待し、IT部門は「今のシステムでは無理」と頭を抱える。現場はレガシーの制約を熟知しているが、現実が経営層に伝わらず形だけのPoCを繰り返す。
▶ 期待と現実のギャップを埋めることが、AI活用の第一歩。
ツール選定から始めてしまう
どのAIサービスを使うかより先に、データとシステムの現状把握が必要だ。Rishabh Softwareによれば、5社中3社がデータ分析に踏み出しているが、成功しているのはデータ基盤が整備されている企業に限られる。
▶ ツール選定より先に、現状把握が必要。
レガシーがAIを阻害する構造
データが「閉じ込められている」
基幹システム、販売管理、顧客管理が別々のシステムで動きデータ形式も異なる。AIは大量のデータを必要とするが、レガシーに閉じ込められたデータにはアクセスできない。
▶ レガシーはデータの牢獄。AIはその外から中を見ることができない。
システム間連携ができない
現代のAIはAPIでデータをやり取りするが、20年前のシステムにはAPIがない。Rishabh Softwareは「Composable Enterprise」をDXトレンドとして挙げているが、レガシーはこの真逆に位置する。
▶ レガシーは「つながらない」システム。AI時代の連携基盤とは対極にある。
保守運用にリソースを奪われる
約4割の企業がIT予算の90%以上を既存システム保守に費やしている。AI投資の余力がなく、導入は永遠に「来年の課題」となる。
▶ 保守に追われる企業に、AI投資の余力はない。
データ基盤がない企業の限界
AIは「データの質」で決まる
AIは、食べさせたデータの質で性能が決まる。顧客データが重複だらけ、売上データに誤りが多い状態では信頼できる出力は得られない。
▶ データの質が低ければ、AIの出力も低品質。魔法は起きない。
リアルタイムデータがない
「昨日の売上は明日にならないと分からない」状況では需要予測も在庫最適化も機能しない。
▶ リアルタイムデータなくして、リアルタイムAIなし。
データがサイロ化している
営業・製造・経理のデータが分断されていると、AIの強みである横断分析が不可能になる。
▶ サイロ化されたデータは、AIにとって「見えない」データ。
AIはDXの「結果」である
AI活用の障壁は「AIそのもの」ではなく「土台」にある。レガシーを刷新しデータを統合し、リアルタイムで活用できる基盤を整える——これがDXの本質だ。AIはDXが完了した「結果」として初めて活用できる。
Rishabh Softwareは「データ管理がデジタル変革のスピードと規模に大きく影響する」と述べている。AIはDXの結果であって、DXの前に来るものではない。
結論:AIの前にやるべき一歩
AI活用を目指すなら現状把握から始めるべきだ。システムはどうなっているか、データはどこにあるか。これらを可視化することで「何を変えるべきか」が見えてくる。
全社一斉の刷新はリスクが大きい。課題が明確な業務を一つ選び成功体験を積む。「AIを入れたいが、何から始めればいいか分からない」なら、AI導入ではなくDXとレガシー刷新の相談として専門家の診断を検討してほしい。
まとめ
AI活用できない企業の9割は、レガシーシステムとデータ基盤の問題を抱えている。**AIはDXの結果であり、DXなくしてAI活用なし。**現状を可視化し、小さな領域から整理を始めることがAI活用への第一歩となる。
参考資料
Rishabh Software "Latest Trends in Digital Transformation for 2026" https://www.rishabhsoft.com/blog/digital-transformation-trends
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